神戸・ローカルに根ざす店の視点|KOBE BEER JAMBOREE 2026 REPORT 【出店店舗特集③】

会場内のステージ
  • 会場内のステージ
  • オナジアナノムジナ(兵庫・神戸)
  • PUBLIC BAL PACINO(兵庫・神戸)
  • BEER SPACE on Tap(兵庫・神戸)
  • ハレとケ(兵庫・神戸)
  • VALLESAGRADO(兵庫・神戸)
  • BEER CRUISER(鳥取)
  • クラフトビールとおばんざいtsunagu(広島)

神戸で開催された“売り手”主役のクラフトビールイベントとローカルの関係性

2026年2月28日から3月1日にかけて開催された「KOBE BEER JAMBOREE 2026(KBJ2026)」。

ビアパブや酒屋、インポーターといった“クラフトビールを届ける側”が主役となり、各出店者が3液種のみで構成する本イベント。限られた数の中で何を選ぶのか、その判断にはそれぞれの店の視点が凝縮されています。

第1回では東日本から集まった店舗を、第2回では大阪・海外勢を取り上げてきました。

第3回となる本記事では、神戸を中心としたエリア、そして神戸より以西の店舗にフォーカスします。日常の延長線上にあるクラフトビールのあり方、そのリアリティが最も色濃く現れるセクションです。



出店店舗一覧とセレクト

オナジアナノムジナ(兵庫・神戸)

オナジアナノムジナ(兵庫・神戸)

神戸・三宮にあるクラフトビールのタップルーム、オナジアナノムジナ。神戸市営地下鉄・三宮駅から徒歩約3分の場所にあります。店名はことわざの「同じ穴の狢」に由来し、職業や趣味、年齢や性別を問わず、クラフトビール好きが集まり楽しく飲める場所にしたいという思いが込められています。

店内では国内外のブルワリーから厳選した鮮度の高いクラフトビールをタップで提供。入手困難な国内外の缶やボトルビールも店内で楽しむことができます。店主が美味しいと感じたブルワリーのビールのみをタップにつなぐというセレクトも特徴です。愛知のY.Market Brewingや北海道・登別ののぼりべつ地ビール鬼伝説などのブルワリーのビールが並ぶこともあります。

この日提供されていたのは次の3種でした。

  • BREAK EDGE BEER WORKS(広島) / Wait / Hazy IPA / 7.5%

  • OPEN AIR BREWING(兵庫) × TOWER RECORDS SHIBUYA / Listen To The Music / West Coast IPA / 6.5%

  • Brasserie du Bas-Canada(カナダ) / Tout Va Très Bien Madame La Marquise... / Quadruple IPA / 11.3%

国内ブルワリーから海外ブルワリーまで幅広いラインアップで、店主のセレクトの個性が感じられる構成となっていました。



PUBLIC BAL PACINO(兵庫・神戸)

PUBLIC BAL PACINO(兵庫・神戸)

神戸・三宮にあるビアバル、PUBLIC BAL PACINO。神戸市営地下鉄西神・山手線 三宮駅、阪急神戸線 神戸三宮駅からそれぞれ徒歩約4分の場所にあります。2017年4月にオープンしました。

煉瓦調の落ち着いた店内には10タップを備え、クラフトビールを含む最大10種類の樽生ビールを提供。ベルギービールの「ラ・シュフ」を常時楽しめる神戸で数少ない店舗としても知られています。

なお、2026年3月12日に同年4月26日での閉店が発表されており、今回の出店はその直前のタイミングとなりました。

この日提供されていたのは次の3種でした。

  • ピルスナーウルケル

  • リーフマンスピーチ / フルーツビール / 3.8%

  • BRASSERIE CHOUFFE(ベルギー) / CHOUFFE LITE / ブロンドビール / 4.0%

ピルスナーウルケルは、泡を先に注ぐ「ハラディンカ」と、きめ細かい泡を主体とした「ミルコ」の2種類の注ぎ方で提供。注ぎ手の技術によって引き出される味わいの違いを楽しめるメニュー構成となっていました。



BEER SPACE on Tap(兵庫・神戸)

BEER SPACE on Tap(兵庫・神戸)

JR元町駅・阪神元町駅から徒歩約1分、神戸プラザホテルの地下1階にあるクラフトビールバー、BEER SPACE on Tap。お店のオープンは、2020年8月。地下というロケーションと、やや落とした照明が特徴的で、落ち着いた雰囲気の中でビールを楽しめる空間。隠れ家的な印象もあり、ゆっくりと過ごせるビアバーです。

店内には8タップを備え、国内外のボトルや缶ビールも豊富に取り揃えています。

この日提供されていたのは次の3種でした。

  • EGRET BREWERY(兵庫・姫路) / On Tap(NITRO版) / ESB / 5.0%

  • 志賀高原ビール(長野) / 其の千(Real Ale版) / Imperial IPA / 8.5%

  • PAINT PALETTE BREWING(兵庫) / LAYERED MIRAGES(NITRO Ver.) / Grape Ale / 8.5%

いずれもNITRO TAPで提供されており、窒素ガスによる滑らかな口当たりや質感の違いを楽しめる構成となっていました。



ハレとケ(兵庫・神戸)

ハレとケ(兵庫・神戸)

神戸・三宮にあるクラフトビールバー、ハレとケ。阪急神戸三宮駅から徒歩約3分、JR元町駅から徒歩約4分の場所にあり、高速バス待合所「PMPTビル」の1階に位置します。2022年6月にオープンしました。

店内に入ると、空や山、花畑、茅葺の家、動物などさまざまなモチーフが一体となった大きな切り絵が目に入り、その下には壁に埋め込まれた10本のタップが並びます。印象的なビジュアルとともにクラフトビールを楽しめる空間です。

徒歩約1分の場所には系列店「Laugh’n(ラフィン)」もあり、エリア内でクラフトビールを楽しめる導線が広がっています。

この日提供されていたのは次の3種でした。

  • EBIR BREW STUDIO(神戸) / TSUKUYOMI / Sugi Saison / 7.0%

  • CRAFT BANK(京都) / 水尾ゆずラガー / Brut Lager / 5.0%

  • 上方ビール(大阪) / ラフィンセゾン 改 / Saison / 5.0%

神戸を含む関西圏のブルワリーを中心にしたラインアップで、地域のクラフトビールシーンとのつながりが感じられるセレクションとなっていました。



VALLESAGRADO(兵庫・神戸)

VALLESAGRADO(兵庫・神戸)

三宮駅から徒歩約7分の場所にあるビアバー、VALLE SAGRADO(バジェ サグラード)。店名はスペイン語で「聖なる谷」を意味します。店内では世界各国のクラフトビールを樽生のほか、ボトルや缶でも幅広く取り揃えており、ビアギークからも支持を集める一軒です。国内外のブルワリーのビールを楽しめる、神戸でも知られるビアバーの一つです。

この日提供されていたのは、2024年3月に醸造を開始したブルワリーNEKOBEERの3液種でした。NEKOBEERは福岡のビアパブBEERKICHIが立ち上げたブルワリーとして知られています。

  • NEKOBEER(福岡) / CLEARNEKOLIQUID / Extra Pale Ale / 5.5%

  • NEKOBEER(福岡) × TEENAGE BREWING(埼玉) / White Cat Power / DDH Hazy IPA / 6%

  • NEKOBEER(福岡) / グレネコニャンゴヤン / Sour IPA / 5%

NEKOBEERのビールを中心に据えたラインアップで、九州のクラフトビールシーンともつながるセレクションとなっていました。



BEER CRUISER(鳥取)

BEER CRUISER(鳥取)

山陰を拠点に活動するクラフトビールセレクトショップ《BEER CRUISER》。山陰初のクラフトビールセレクトショップとしてスタートし、現在は常設店舗を持たず、イベント出店などを中心に活動しています。

テーマは「旅するビアスタンド」。海や山、音楽が流れる野外イベントなど、風を感じる場所を巡りながら、全国各地のブルワリーが手がける個性豊かなクラフトビールをセレクトし、人と人がつながる時間を届けています。

2026年には山陰エリアでの店舗オープンも予定しているとのこと。今後の展開にも注目が集まります。

この日提供されていたのは次の3種でした。

  • CHEERZ FACTORY(島根) / SHINKU / Fruits Saison / 6.0%

  • SESSION’S BREWERY(広島) / Crew's Campfire / Hazy Pale Ale / 5.5%

  • PRIMARY BARRELS(京都) / unbound / Hazy IPA / 7.0%

山陰・中国地方を含む各地のブルワリーを揃えたラインアップで、「旅するビアスタンド」というコンセプトを体現するようなセレクションとなっていました。



クラフトビールとおばんざいtsunagu(広島)

クラフトビールとおばんざいtsunagu(広島)

広島で気軽にクラフトビールを楽しめるビアバー、クラフトビールとおばんざいtsunagu。広電・袋町駅から徒歩約6分のほか、本通駅や立町駅からも徒歩圏内にあります。2024年12月にオープンした比較的新しい店舗です。

店内には7タップが並び、樽生クラフトビールを提供。カウンター上には大鉢に盛られたおばんざいが並び、つい手を伸ばしたくなるような、日常使いしやすい雰囲気が特徴です。

この日提供されていたのは次の3種でした。

  • SESSION’S BREWERY(広島) / HEY! Jiro / Hazy IPA / 8.0%

  • HIROSHIMA PEACE BEER(広島) / Hiroshima Peace Lager / Amber Lager / 5.0%

  • SESSION’S BREWERY(広島) / Strawberry Soft / Smoothie Sour IPA / 3.5%

地元・広島のブルワリーで揃えたラインアップで、地域に根ざしたクラフトビールの楽しみ方を感じられるセレクションとなっていました。



BEERKICHI(福岡)

BEERKICHI(福岡)

猫のキャラクター「ビアキチくん」で知られる福岡・天神のビアパブ、BEERKICHI。2019年5月にオープンし、クラフトビールファンの間でも知られる存在です。

店の入口脇にはタップがつながる冷蔵庫があり、そこにはこれまで訪れたブルワリーのステッカーがびっしりと貼られています。以前訪問した際は10タップでしたが、現在は12タップに増設されているとのこと。多くのブルワリーからも愛されるビアパブです。

この日提供されていたのは次の3種でした。

  • YUYA BOYS × 鬼伝説ビール(北海道) / YUYA BOYS IPL ~JAMBOREE SP Ver.(JSP)~ / West Coast IPL / ?%

  • BEERKICHI × YUYA BOYS × NAMACHAん(東京) / 縁結びヘイジー / Hazy DIPA / ?%

  • YUYA BOYS / YUYA BOYS After Sauna / Salt and Lemon Lager / 4.5%

YUYA BOYSとのコラボレーションを中心に、イベントらしい個性のあるラインアップが並んでいました。



BEER SLASH(沖縄)

BEER SLASH(沖縄)

沖縄・那覇にあるクラフトビールバー、BEER SLASH。2023年12月にサンライズなは商店街(壺屋)でオープンし、2025年5月に移転のため一度閉店。その後、同年9月に久茂地エリアで再オープンしました。現在は、ゆいレール・県庁前駅から徒歩約4分の場所にあります。

オリジナルビールの展開にも力を入れており、国内各地のブルワリーと協働しながら、自店のスタイルを表現したビールをリリースしています。

この日提供されていたのは次の3種でした。

  • BEER SLASH Original × Fill Brewing(沖縄) / SLASH N' FILL / Pineapple Hazy IPA / 6.6%

  • BEER SLASH Original × FUSHIMI BEER WORKS(京都) / SHELTIE BITTER / English Pale Ale / 4.0%

  • VATTEN BREWING(熊本) / JUICY WAVE / Fruit Sour Ale / 5.0%

オリジナルビールを中心に、各地のブルワリーとのつながりが感じられるラインアップとなっていました。

セレクトに表れる、それぞれの店の個性

会場風景

神戸を中心としたこのエリアの店舗に共通していたのは、「日常の中にクラフトビールがある」という距離感でした。

観光地に寄るでもなく、イベントのためだけの存在でもない。普段からその土地で営業し、常連客との関係性の中でビールを提供している店が多く並びます。そのため、セレクトにも無理がありません。派手さや話題性よりも、その店らしさや、普段の営業の延長としてのリアリティが感じられる構成になっていました。

地元ブルワリーとの関係性、常連客に向けた味わいの選び方、そして店の空気感に合うビール。そうした要素が自然に重なり合い、それぞれの3液種に落とし込まれています。

KOBE BEER JAMBOREEは、クラフトビールの“非日常”だけでなく、“日常”の在り方も同時に提示していたイベントだったと言えるのかもしれない。

《BEERMAPS編集部》