学芸大学唯一のブルワリー「RIKRI BREWING(リクリブルーイング)」。28歳代表が語るビールづくりへのこだわり

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学芸大学駅から徒歩5分。目黒区・学芸大学エリアで唯一のブルワリーとして注目を集める「RIKRI BREWING(リクリブルーイング)」は、醸造所とタップルームを併設したクラフトビールブルワリーです。

2026年1月に自家醸造を開始したばかりながら、すでに地域のクラフトビールファンを中心に話題に。飲みやすさとバランスを大切にしたビールづくりで、着実に支持を広げています。

今回は、28歳で代表兼ヘッドブルワーを務める川﨑 陸登(かわさき りくと)さんにインタビュー。クラフトビールに惹かれたきっかけから、ブルワリー立ち上げの経緯、ビールづくりのこだわり、そして今後の展望まで詳しくうかがいました。

2人の役員との出会いが「RIKRI BREWING」立ち上げのきっかけに

代表兼ヘッドブルワーの川﨑陸登さん(右)と、ブルワーの遠山柊斗さん(左)。2人は同い年の28歳。

東京・八王子市出身の川﨑さん。まずは、「RIKRI BREWING」を立ち上げるまでの歩みについて聞きました。

——まずは、クラフトビールを好きになったきっかけや、ブルワーを目指した理由を教えてください。

川﨑さん:20歳の時にBREWDOGの「PUNK IPA」を飲んで、その美味しさに感動したことがクラフトビールを好きになったきっかけです。

「こんなに美味しいビールがあるんだ」と驚いて、そこから色々なクラフトビールを飲み始めました。この頃から、ウエストコースト系のIPAが好きでしたね。

そのなかで、「自分の好きなビールを、自分の手で造れたら幸せだな」という想いが生まれ、ブルワーになることを決めました。

もともと独立を目指していたので、ブルワーとして経験を積んだのち、できるだけ早い段階で自分のブルワリーを立ち上げたいと考えていました。

——そこから、どのような流れで「RIKRI BREWING」の立ち上げに至ったのですか?

川﨑さん:僕が20歳の頃は今よりもブルワリーの数が少なくて、どこもスタッフを募集していなかったので、まずは独学で勉強を始めました。

その後、渋谷のビアバー「ØL Tokyo(オル東京)」や二子玉川の「ふたこビール」で働きながらクラフトビールについて学び、22歳のときに「東海道BEER川崎宿工場」を紹介してもらいブルワーとして入社。1年ほどブルワーの経験を積んだ後に、自分でビールのレシピを書きたいという想いから板橋の「Tokyo Aleworks」に移りました。

はじめてビールを造ったときは感動しましたし、自分でイチからレシピを考えたビールが完成したときはさらに大きな感動がありましたね。

そして「Tokyo Aleworks」で4年ほど働くなかで、価値観や目指す方向性を共有できる現在の役員2人と出会い、「RIKRI BREWING」の立ち上げに至りました。

「和×グラフィティ」がテーマ。ブルワリーを学芸大学に構えた理由

盆栽の手入れ方法は、プロの方にこれから教わるそう。

2024年11月に「Tokyo Aleworks」を退職した川﨑さんは、「RIKRI BREWING」立ち上げの準備を本格化。2025年9月にタップルームをオープンし、その後2026年1月から自家醸造をスタートしました。

——「RIKRI BREWING」というブルワリー名にはどのような由来があるのでしょうか?

ロゴは、上半分が「陸」、下半分が「離」と描いてあるのだとか。

川﨑さん:RIKRIは、漢字の「陸離」に由来しています。現代ではほとんど使われない言葉ですが、「光が美しく入り乱れて輝く様子」という意味を持っています。「陸(日本)から離れて世界へ」という解釈も込めました。

「陸離」という言葉を知ったきっかけは、実家に帰省したときです。飾ってあるポストカードに、自分の名前の「陸登」は「陸離の如く~」という言葉に由来すると描かれていて、「陸離」の意味を調べて良い言葉だなと思いました。

ちなみに、そのポストカードは親ではなく助産師さんが作ったそうで、助産師さんに店名のヒントをもらったことになりますね(笑)

——タップルームのオープンにあたって、苦労などはありましたか?

川﨑さん:大きなトラブルはありませんでしたが、設備の輸入と免許の取得が大変でしたね。輸入元と英語でやり取りしたり、スケジュールどおりに動いてもらうために指示を出したり。決めることも多いですし、運搬の手配まで自分で全てやらなければならないので。

タップルームのオープン準備にあたって、役員の2人に加えて仲の良い「Inkhorn Brewing」のオーナー・中出駿さんにもお世話になりました。

——タップルームには盆栽など和の要素を感じますが、どのようなこだわりがありますか?

随所に「和」を感じられ、落ち着いた雰囲気の店内。

川﨑さん:タップルームはデザイナーである駿さんの奥さんと、「Inkhorn Brewing」の内装を手がけた方にデザインしていただきました。

テーマは和とグラフィティ、ストリートアートです。やはり日本人なので、盆栽をはじめ和の要素には惹かれますね。これから店内にグラフィティを描いていきたいです。

ロゴは「陸離」と漢字で描いてあり、ほかのデザイナーさんに内装と同じイメージで仕上げてもらいました。読めなくても良くて、デザインのかっこよさを優先しました(笑)

——学芸大学にタップルームと醸造所を構えた理由はありますか?

川﨑さん:住んでいるところからの距離の関係で、世田谷区か目黒区で物件を探していたのですが、家賃や立地条件の面で6軒ほど見送りました。そして良い物件はないかと探しているときに偶然、学芸大学に新築物件を見つけたんです。

学芸大学は駅周辺にビアバーが複数あることからクラフトビールの浸透率が高そうだと思い、さらに現時点で営業中のブルワリーがなく、駅から徒歩5分というところにも魅力を感じてその新築物件に決めました。

カウンター席があるため、1人でも気軽に立ち寄れそう。

学芸大学は商店街やおしゃれなお店があって、海外の方も多く住んでいて、雰囲気がすごく好きですね。長く住んでいる人が多いみたいで、よく近所の方が来てくれます。

これからビアバーを含めてたくさんの飲食店に顔を出しながら地域に根付いていきたいですし、ゆくゆくは近くの店舗同士でコラボもできたらいいなと思っています。

初仕込み4液種を26店舗で一斉開栓。“パイントで飲めるビール”へのこだわり

目黒区・学芸大学で唯一のブルワリーとして、地域のクラフトビールファンから愛される存在。

「RIKRI BREWING」の1stバッチは、サワーの「Prospect」。同時に「Dear All」「HOPSIN」「CORGIE LEGS」も仕込み、2026年1月26日に26店舗にて4液種を一斉開栓しました。

——ビールづくりで大切にしていることや、こだわりを教えてください。

川﨑さん:レシピは何かしらの目的を持って構築していますが、一貫して「パイントで美味しいと思えるビール」を意識しています。インパクトがあるだけではなく、飲み進めてもバランスが崩れず飽きないビールが理想です。

ほかのブルワリーや海外の記事などで学んだ技術をもとに、新しい醸造方法を積極的に取り入れ、自分たちのスタイルに落とし込んでいます。

はじめからビールの味に自信はあったものの、ホップのキャラクターの出方が想像と少し違うこともあり、試行錯誤を重ねて最近ようやく理想どおりの出来になってきたところです。

ブルワーの遠山が研究熱心で、色んなところから情報を持ってきてくれるので、良さそうな醸造方法などがあれば挑戦しています。2人ともIPAが好きで造るのも得意なので、IPAは多くなりがちですね。

僕はラップが好きなので、ビール名はラップの曲やラッパーからインスピレーションを受けることが多いです。ただ、テーマを統一しているわけではなく、お互いに好きなものから名付けています。

ビールづくりでリスペクトしているブルワリーは、「Inkhorn Brewing」です。ホップの草っぽさを抑えながらキャラクターだけをしっかりと付けられていて、パイントでも最後までバランスが崩れずに美味しく飲めます。

——1stバッチの「Prospect(プロスペクト)」はサワーですが、なぜIPAではなくサワーを選んだのでしょうか?

川﨑さん:はじめての仕込みなので、ホップやモルトの使用量が少なくスムーズに仕込めるサワーを選びました。

「Prospect」は、近年主流となっているフルーツピューレやラクトースを使用したサワーとはあえて違う方向性を目指しています。そうしたサワーは華やかでインパクトがありますが、その分価格も上がりやすく、日常的に飲むには少し重たいと感じたからです。

いつでも飲めるサワーをテーマに、フルーツピューレやラクトースを使用せず、すっきりとした飲み口とほどよい酸味を意識しました。

ウィートを使用するなどモルトの構成を考えながら、ホップもある程度乗せて、さらにライムジュースを入れています。ドライホップもしていて、シャバくならないように仕上げました。ライムジュースを入れるのは酸味をプラスする意味もありますが、アロマとフレーバーの余韻を繋げる目的もあります。

ビール名の「Prospect」は、iann dior feat. Lil Babyの曲名が由来です。

——「Prospect」と同時に仕込んだ3液種は、それぞれどのような特徴がありますか?

川﨑さん:「Dear All」「HOPSIN」「CORGIE LEGS」は、「Prospect」と同時に4つのタンクを全て使うかたちで仕込みました。

Dear All(West Coast IPA)
ベースモルトが100%に近いウエストコースト系で、最近人気が高いスッキリとした飲みやすいビールに仕上げました。クラシカルなホップをメインに、柑橘・松・ダンクのアロマとフレーバーを感じられます。ビール名「Dear All」の由来は、2PacのDear Mamaという曲です。

HOPSIN(IPA)
ネルソンソーヴィンというホップが好きなので、これをメインにIPAスタイルのレシピを組み立てました。ウエストコーストよりもボディをしっかりと切らせて、甘ったるくならないように仕上げています。「HOPSIN」はラッパーのHopsinから、そのまま名付けました。

CORGIE LEGS(DDH Hazy IPA)
甘ったるくならないようにバランスを考えながら、フレークのオーツとウィートをしっかり使い、口当たりの良さやボディ感を出しています。ヘイジーが得意ではない僕でも美味しいと思えるヘイジーに仕上がったので良かったです。「CORGIE LEGS」は遠山のレシピで、ビール名はラップと全く関係ありません。

初仕込みとなった4つのレシピを改良しながら、これから「RIKRI BREWING」の定番ビールを造っていこうと考えています。

——初仕込みの4液種は一斉開栓したとうかがいました。

川﨑さん:ありがたいことに、26店舗の方々にご協力いただいて、2026年1月26日に初仕込みの4液種を一斉開栓しました。26店舗同時に開栓してもらうのは簡単なことではないので、今後もなかなか出来る気がしません。前職からご縁がある方々ですが、一店舗ずつお願いして実現した、貴重で嬉しい機会になりましたね。

仕込み中にはタンクの配線ミスで酵母を入れられなかったり、ヒートエクスチェンジャー(熱交換器)が詰まって移送に3時間かかったりと大変なことも多かった分、一斉開栓で飲んでいただいた方々に「美味しい」と言ってもらえて嬉しかったです。

——同じく2026年1月に開催したリリースパーティーはいかがでしたか?

川﨑さん:多くの方が応援の言葉をかけてくださり、ブルワリーとしての第一歩を実感できた特別なイベントになりました。

土日の12時から23時まで初仕込みの4液種を提供して、近くに住んでいる常連さんから新規の方までたくさんの人が来てくださって、満席の状態が続く楽しい2日間でした。

土曜日にパイントで6杯飲んで、日曜日にはパイントで11杯も飲んでくれた方は、とくに印象に残っています。なかでも「Prospect」を気に入っていただけて、5杯ほど飲まれていました。僕たちは「パイントで美味しいと思えるビール」「ずっと飲めるビール」をテーマに醸造しているので、パイントでたくさん飲まれている姿を見るのは嬉しいですね。

缶リリースから海外輸出まで。「RIKRI BREWING」が描くこれから

「将来的には海外輸出に挑戦したい」と語る川﨑さん。

インタビューの最後に、「RIKRI BREWING」が見据える未来について語っていただきました。

——今後の展望や、「RIKRI BREWING」として挑戦したいことはありますか?

川﨑さん:「陸(日本)から離れて世界へ」という解釈を込めたブルワリー名のとおり、将来的には海外輸出に挑戦したいです。海外旅行が好きなので、海外でたまたま入ったビアバーに「RIKRI BREWING」のビールが繋がっていたら最高だなと、よく考えています。

遠山は1月から1か月ほどアメリカを訪れていて、やはりビールのレベルが違うと言っていました。ファームの近くで醸造ができるという点もアメリカならではのメリットだと思います。アメリカで色々なビールを飲んでインスピレーションを受けて、早速仕込んだのがWest Coast Pilsnerの「Pepperoni Quattro」です。これが12液種目になります。

また、ゆくゆくは醸造所を大きくしたり、タップルームを増やしたりしたいですね。醸造所だけ大きくしても販路が見つからなければ運営が難しいので、まずはタップルームを増やすほうが先かなと考えています。醸造所を大きくできたら、ランビックのようなWild Aleにも挑戦してみたいです。

ビールのイベントにも積極的に参加しながら、東京はもちろん地方も訪れて、現地のビアバーの方々とお話したいなと思います。

定期的にフードのポップアップもおこなっていく予定で、直近だとクラフトビール×インドカレーを提供する経堂のビアバー「マジックアワー」と4月末にポップアップイベントを開催します。

——今回はお話を聞かせていただき、ありがとうございました!最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

川﨑さん:5月から缶のリリースも始まり、これまで以上に多くの方に「RIKRI BREWING」のビールを届けられるようになります。どのスタイルも飲みやすさを大事にしていて、美味しいビールしか造らないので、ぜひ一度飲んでみてください。「RIKRI BREWING」をよろしくお願いします!

編集部が飲み比べ!「RIKRI BREWING」おすすめクラフトビールを4つご紹介

Prospect(プロスペクト)

Prospect / Sour

「RIKRI BREWING」の1stバッチである「Prospect」。

桃のような優しいアロマとほのかな甘味に、尖りすぎない酸味とライム由来の柑橘感が余韻を残します。炭酸とのバランスも心地よく、サワーが苦手な編集部員が気に入ってグビグビ飲んでいました。

乾杯にも2~3杯目の繋ぎにも合うクリーンな印象の一杯です。

スタイル:Sour
アルコール度数:5.0%

Greenday

Greenday / West Coast IPA

Pilsnerモルトを中心に、Wheatモルトを組み合わせたWest Coast IPA。今までのバッチでのアロマの出方を踏まえ、ドライホップ量を増やし3回に分けて投入することで、香りの立ち方を調整しているそう。

小麦由来の滑らかな口当たりとシトラス系のアロマに加えて、柔らかな苦みやモルトの深みも感じられます。飲み進めるとストーンフルーツや柑橘のニュアンスも顔を出し、印象が移り変わる。最後は余韻が速やかに引く綺麗な一杯です。

「Greenday」というビール名は、カナダ出身のラッパーTom MacDonaldの楽曲タイトルから。

スタイル:West Coast IPA
アルコール度数:6.5%

Big Hoppa

Big Hoppa / Double IPA

パイン・ダンク・柑橘のクラシカルなアロマが広がるDouble IPA。CentennialやChinook、ColumbusなどC系ホップをメインに使用しているとのこと。

しっかりとした苦みと、8.5%のアルコール度数を感じさせないスムーズな飲み口を併せ持つ一杯。後味はドライで、何杯でも飲めそうです。

ビール名の「Big Hoppa」は、The Notorious B.I.G.のBig Poppaに由来。

スタイル:Double IPA
アルコール度数:8.5%

E-DOG

E-DOG / Hazy IPA

ダブルマッシュ製法の「CORGIE LEGS」に対して、シングルマッシュで仕込んだHazy IPAの「E-DOG」。

パイナップルのようなアロマに包まれるものの、甘さは控えめでサラリと滑らかな口当たりの一杯です。

しっかりと苦みも感じられて飲み進めやすく、Hazy特有の甘さが苦手な編集部員もハマりました。

スタイル:Hazy IPA
アルコール度数:7.5%

飲みやすく美味しいビールの追求は続く!「RIKRI BREWING」の今後に注目

すでに12銘柄をリリースし、5月には缶販売もスタートさせるという「RIKRI BREWING」。自家醸造を始めて間もないながらも、将来的な海外展開まで見据える、勢いあるブルワリーでした。

取材を通じて印象的だったのは、川﨑さんが一貫して「パイントで美味しいビール」を追い続けていること。派手さだけに寄らず、何杯でも飲み進めたくなる一杯を目指す姿勢が、「RIKRI BREWING」のビール全体に表れていました。

学芸大学でクラフトビールを楽しみたい人はもちろん、ブルワリーの“これから”を追いかけたい人にも注目してほしい一軒です。気になる方は、ぜひタップルームでその味を体験してみてください。

編集部は今後も、気になるブルワリーを追いかけていきます。お楽しみに!

店舗概要

店舗名:RIKRI BREWING(リクリブルーイング)
住所:東京都目黒区鷹番3-19-20
アクセス:東急東横線「学芸大学」駅徒歩5分
営業時間:平日15:00~23:00(L.O.22:30)/土日祝12:00~23:00(L.O.22:30)
定休日:不定休
支払い:現金・クレジットカード・PayPay
公式Instagram:https://www.instagram.com/rikribrewing/

《BEERMAPS編集部》