タップルーム探訪|京都・太秦映画村の江戸の街並みに溶け込むタップルーム——京都醸造「味隠」

味隠 外観
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  • 太秦映画村入口
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  • 大手門
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  • 荒磯に波
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江戸の街に入り込む、その延長線上にある一杯

太秦映画村入口

京都駅からJR山陰本線に乗り、15分弱。花園駅から歩いて、太秦映画村の正面口へと向かいます。

オンラインで購入したチケットで入場すると、東映でおなじみの「荒磯に波」の壁が出迎えます。そのまま屋外へと抜けた瞬間、視界は一変します。

荒磯に波

そこには、江戸時代の街並みが広がっています。

着物姿のキャストが歩き、町角では寸劇のようなやりとりが繰り広げられています。観光施設であることは理解しつつも、本当に江戸時代の町を歩いているかのような錯覚に陥ります。

施設内

そんな世界観の中に、京都醸造の直営店「味隠(みおん)」はあります。

江戸の街に現れる、クラフトビールの店

味隠 外観

「味隠」は入場してすぐのブロックの角に位置しています。

外観は白壁と焼杉板の黒のコントラストが映え、瓦屋根が日本家屋らしさを演出します。そこに、青地に黄色で「味隠」と書かれた暖簾がかかります。周囲の建物と並んでも違和感はなく、むしろ街並みに馴染んでいる印象です。

味隠 外観

入口脇にはテイクアウト用のカウンターが設けられ、木製のタップハンドルが外からも見えます。一見すると江戸の飲み屋ですが、提供しているのは現代のクラフトビールです。

テイクアウトメニュー

この時点で軽い違和感を感じますが、京都という町と映画村という観光名所がそれを打ち消し、高揚感を掻き立ててくれます。

タップルームとして成立している空間

味隠入口

暖簾をくぐり店内へ入ると、L字型のカウンターとテーブル席が広がります。

店内

カウンターは8席、テーブル席は大小7卓。全体で30名ほどが座れる構成です。観光地の店舗としては十分な収容力を持ちながら、タップルームとしての距離感も保たれています。

焼杉板の壁から出るタップと京都醸造のロゴ

タップは8本。黒の焼杉板に設置されており、和の空間に合わせた落ち着いた設えになっていて、まさにここは江戸の町屋に設えられたタップルームといった印象です。

映画村でしか飲めない一杯と、定番のラインアップ

助太刀(Sukedachi) / Hoppy Pilsner / 5.0%(味隠限定)

この日つながっていたのは以下のラインアップです。

  • 助太刀(Sukedachi) / Hoppy Pilsner / 5.0% *味隠限定

  • 週休6日(6DAY WEEKEND) / Belgian Session IPA / 4.5%

  • はばかりさん(HABAKARISAN) / Belgian Wit / 4.5%

  • 春の気まぐれ(HARU NO KIMAGURE) / IPA / 6.0%

  • 一意専心(ICHII SENSHIN) / Belgian IPA / 6.0%

「助太刀」のような限定ビールがあることで、この場所に来た意味が明確になります。観光地の中にありながら、単なる“飲める場所”ではなく、“ここで飲む理由”が用意されています。

この中から、「助太刀」「春の気まぐれ」「一意専心」の3種をいただきました。

カレーとビールがつくるもう一つの体験

あいがけカレープレート

この店で特徴的なのは、ビールだけではありません。フードの軸はスパイスカレーです。

注文した「あいがけカレープレート」は、チキンカレーと豆カレーの2種に加え、4つの副菜がワンプレートに収まります。ゴボウのスパイス炒め、厚揚げと九条ネギのサラダ、レンコンチップス、京かぶらのライタ風。いずれも京都の食材をベースに構成されています。

メニュー

中でも印象的だったのはゴボウのスパイス炒めです。細く裂いたゴボウをスパイスで炒めた一品で、見た目から想像するパリッとした食感ではなく、しっとりとした仕上がりでした。噛み応えはありつつも繊維の硬さは感じず、ビールとの相性も非常に良いです。

京都醸造のロゴが入ったパパド

パパドには京都醸造のロゴが焼き印されており、視覚的にもこの場所ならではの体験を補強しています。

創業者が注ぐビールと、観光地としての空気

カウンターに立っていたのは、創業者の一人であるベン・ファルク氏。軽快な英語で来店客にビールを勧めていきます。場所柄、海外からの観光客も多く、日本語と英語が自然に交錯しています。

客層は日本人と外国人がほぼ半々。訪れた時間が開店直後だったこともあり、店内でゆっくり飲むというよりは、テイクアウトでビールやコーヒーを手にする人が多い印象でした。

この点も、通常のタップルームとは明確に異なります。

観光地にあるタップルームという選択

店内

太秦映画村には、京都を代表する飲食店が複数出店しています。その中に、京都醸造があります。ブルワリーのタップルームは、これまで醸造所に隣接する場所や街の中の拠点として機能してきました。一方で「味隠」は、観光地という文脈の中に置かれています。

施設内

江戸の街並みという非日常の中で、現代のクラフトビールを飲む。最初は少しの違和感がありますが、その体験はすぐに馴染んでいきます。それは、この店が空間に無理に入り込んでいるのではなく、文脈ごと取り込んで設計されているからかもしれません。

屋根上の看板

クラフトビールは、どこで飲まれるのか。その問いに対して、京都醸造はひとつの答えを提示しています。ここはタップルームでありながら、観光体験の一部でもあります。その両立が、この場所では成立しています。

【店舗情報】
店名:味隠(みおん)
場所:UZUMASA KYOTO VILLAGE 太秦映画村 内 烏通り
   京都市右京区太秦東蜂岡町10
営業時間:10:00~21:00(ラストオーダー 20:30 ※一部対応不可メニューあり)
サービス:イートイン/テイクアウト

《BEERMAPS編集部》