ととのいのあとに、クラフトビールがある風景|黄金湯 新宿──新宿という街に生まれた、もうひとつの黄金湯

外観
  • 外観
  • 黄金湯のロゴ
  • 昔ながらの煙突(今は未使用)
  • 黄金湯のロゴ(ライトアップ)
  • 番台上のロゴ
  • 下駄箱と券売機
  • 下駄箱と飲食の返却棚
  • クラウドファンディングに参加した支援者のネームが入った下駄箱のキーホルダー

新宿の真ん中に、もう一度銭湯が生まれた

黄金湯のロゴ

新宿駅から東へ。歌舞伎町を抜け、職安通りを越えた先にある東新宿エリアは、近年ホテルやマンションの開発が進む一方で、昔ながらの住宅地や商店が今も残る街だ。そんな街の一角に、かつて地域の人々に親しまれた銭湯「金沢浴場」があった。

2026年7月。その場所に新たに誕生したのが「黄金湯 新宿店」だ。錦糸町で銭湯文化を現代に再編集し、多くのサウナーや銭湯ファンを惹きつけてきた黄金湯。その新たな拠点となる。

番台上のロゴ

東新宿駅から歩いて数分。白い暖簾をくぐると、正面にはモルタル仕上げの番台が現れる。

下駄箱の鍵は昔ながらの木札ではなく、一般的な金属製の鍵だ。しかし、それぞれのキーホルダーには、黄金湯 新宿店のクラウドファンディングに参加した支援者の名前が刻まれている。個人のニックネームや企業名など、その表記はさまざま。鍵を手に取るたびに、この場所が多くの人の思いによって再び息を吹き返したことを思い出させてくれる。

クラウドファンディングに参加した支援者のネームが入った下駄箱のキーホルダー

金沢浴場から黄金湯 新宿店へ。それは単なるリニューアルではなく、多くの人が関わりながら育ててきたプロジェクトでもあるのだ。銭湯としての所作は、どこか懐かしい。しかし、その先に広がる空間は、これまでの銭湯とも、錦糸町の黄金湯とも異なる表情を見せていた。

旧金沢浴場の外観

永山祐子が描いた、洞窟のようなサウナ空間

男性側風呂

黄金湯 新宿の設計を手掛けたのは、建築家・永山祐子氏。

東急歌舞伎町タワーをはじめ、昨年開催された大阪・関西万博では「パナソニックグループパビリオン『ノモの国』」、「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」を手掛けてきた永山氏にとって、銭湯の設計は今回が初めてだという。

女性側風呂

銭湯エリアは中央の壁を挟んで、男女ともほぼ同じ構成となっている。長年この場所を見守ってきたタイル絵は、AI技術を活用して復元。さらに緑の彩色を施すことで、浴室全体がひとつの空間として統一されている。

女性側風呂

浴槽は36~37℃の高濃度炭酸泉、41~42℃の薬湯、水風呂の3種類。いずれも天然地下水を使用しており、肌あたりは柔らかい。

しかし、この施設の象徴はやはりサウナゾーン「THE CAVE」だろう。

男性側サウナ入口

男性側の「THE ABYSS」は、洞窟の奥へと進んでいくような空間構成。サウナエリアへ足を踏み入れると、曲線を描く壁面と間接照明がつくり出す柔らかな陰影が広がる。薄暗いが、不思議と閉塞感はない。丸みを帯びた空間が身体を包み込むような感覚がある。

男性側サウナ室内

サウナ室には2基のオートロウリュストーブを設置。ロウリュが始まると一気に熱気が広がり、洞窟の中に蒸気が満ちていく。温度だけではなく、空間全体で没入感を演出しているようだった。

男性側サウナストーブ

一方、女性側の「THE COCOON」は、その名の通り繭(まゆ)のように包み込まれることを意識した円形のサウナ室となっている。

女性側サウナ室入口

男性側の力強い洞窟空間に対し、こちらはより柔らかく穏やかな印象。セルフロウリュによって、その日ごとに異なるアロマやハーブの香りを楽しめるのも特徴だ。

女性側サウナ室

また、男性側が外気浴スペースを備えるのに対し、女性側はサウナ室に隣接した内気浴スペースを設置。間接照明に包まれた落ち着いた空間で、ゆったりと身体を休めることができる。

女性側内気浴スペースと水風呂

月に一度程度、男女入れ替え営業も予定されているという。普段とは異なるサウナ空間を体験できる機会として、楽しみにしている人も多いだろう。

地底の泉のような水風呂と、新宿の空

男性側サウナ室横の外気浴スペースと水風呂

サウナの入口の横には、美泡水風呂。15~16℃に保たれた天然地下水の中から細かな泡が湧き上がり、身体をやさしく包み込む。錦糸町の黄金湯にも地下水の魅力はあったが、新宿ではさらに“演出”という要素が加わっているように感じる。

男性側サウナ室横の水風呂

サウナ室、水風呂、そして外気浴。その一連の流れがひとつの体験として設計されている。

男性側サウナ室横の外気浴スペースと水風呂

男性側には9席の外気浴スペースが用意され、中央には植栽も配置されている。夜になると照明が灯り、幻想的な雰囲気へと変わる。頭上には新宿の空。下町の空を見上げる錦糸町とは異なる景色だが、それもまたこの街らしい。

サウナのあとに、クラフトビールがある

ビールのタップは5口

黄金湯といえば、サウナと並んで欠かせないのがクラフトビールだ。番台の一角にはビールタップが設置され、その奥にはDJブースも備えられている。錦糸町の黄金湯を訪れたことがある人なら、この風景に見覚えがあるだろう。

この日つながっていたのは、自社醸造所「BATHE YOTSUME BREWERY」の5液種。

  • SHINJUKU LAGER(NZ Lager)5.0%

  • FOREST(Weizen)3.7%

  • SUNRISE(Pale Ale)5.0%

  • SQUALL(Hazy IPA)6.0%

  • SHOWER(IPA)7.0%

まず選んだのは、黄金湯 新宿店のオープンを記念して醸造された「SHINJUKU LAGER」。

SHINJUKU LAGER(NZ Lager)5.0%

ラガーらしい軽快なのど越しの奥から、NZホップ由来のアロマがゆっくりと立ち上がる。サウナ後の乾いた身体に心地よく染み込んでいく一杯だ。

続いて「SQUALL」。

SQUALL(Hazy IPA)6.0%

トロピカルフルーツを思わせる香りが広がるが、重たさはない。小麦由来の柔らかな口当たりと、すっきりとした後味が共存している。サウナ後に飲むことを考えて設計されたかのようなバランスの良さだった。

DJブース

大音量ではないものの、DJブースからは軽快なリズムが流れる。

ビールを片手に番台を眺める人。友人同士で語り合う人。湯上がりの余韻を静かに楽しむ人。そこには、かつての銭湯とは違う、新しいコミュニティの姿があった。

外から見る休憩スペース

新宿という街に生まれた、もうひとつの黄金湯

黄金湯のロゴ(ライトアップ)

オープン初日ということもあり、この日は多くの人が訪れていた。

若いサウナー。近隣に住む家族連れ。外国人観光客。そして、かつてこの場所にあった金沢浴場を知る人もいるかもしれない。錦糸町の黄金湯が、銭湯文化を現代に再編集した場所だとするならば、黄金湯 新宿店は、その思想を新宿という巨大都市の文脈へ移植した場所なのかもしれない。

昔ながらの煙突(今は未使用)

金沢浴場の記憶を受け継ぎながら、新たな建築、新たなサウナ、新たなコミュニティを育てていく。そしてサウナのあとには、変わらずクラフトビールがある。

黄金湯 新宿店は、ブランドの複製ではない。新宿という街だからこそ生まれた、もうひとつの黄金湯だった。

【施設詳細】
黄金湯 新宿店

所在地:東京都新宿区新宿7-22-11
アクセス:東京メトロ副都心線・都営大江戸線「東新宿駅」より徒歩5分
グランドオープン:2026年7月7日
営業時間:12:30~24:00
※2026年8月から翌9:30まで営業予定
定休日:第1・第3火曜日

《BEERMAPS編集部》