神戸市兵庫区。市街地のにぎわいから少し距離を取りながらも、生活の気配が色濃く残るエリアに、Open Air Brewingの醸造拠点「Open Air 湊山醸造所」はあります。旧湊山小学校の跡地を活用した複合施設「NATURE STUDIO」の一角。ここでは、クラフトビールが“目的地”としてではなく、日常の延長に自然と組み込まれる存在として機能しているように感じられました。
東山商店街を抜け、街の奥へ

最寄り駅は神戸市営地下鉄「大倉山駅」や神戸電鉄「湊川駅」。いずれからも徒歩では15分以上かかりますが、道中には昭和11年の発足から約90年にわたり「神戸の台所」として親しまれてきた東山商店街があります。南北約300メートルの通りに百数十軒の店が並びます。昭和の面影を残す商店街には、鮮魚店や精肉店、惣菜店が並び、買い物をする地元の人たちの姿が絶えません。その活気を背に住宅地へと進んでいくと、空気が少しずつ落ち着き、NATURE STUDIOの敷地へとたどり着きます。

なお、平安時代末期、この一帯には「雪見御所」があったとされ、現在も石碑と案内板が残されています。長い時間をかけて積み重なってきた土地の記憶が、今も街の中にさりげなく息づいている場所です。
旧小学校を生かしたNATURE STUDIOという舞台

NATURE STUDIOは、141年の歴史をもつ旧湊山小学校をリノベーションして生まれた施設です。校舎の記憶を残しながら、敷地内にはフード、学び、自然体験など多様な要素が配置され、地域再生の拠点としての役割を担っています。

Open Air 湊山醸造所は、小学校1階にあった給食室を改装したスペースに設けられています。醸造所は1階、タップが楽しめるフードホールは2階という構成ですが、醸造所はフードホール入口脇に位置するため、窓越しにタンクや積まれたケグの様子を目にすることができます。
フードホールの一角にある“開かれたタップカウンター”

タップカウンターはNATURE STUDIOの2階フードホール内にあり、同じ空間にはカレー&カフェ「マンドリル」、スイーツをメインとする青森りんごの専門店「あら、りんご。」、メキシカンタコスの「SIESAR TACOS」が並びます。

Open Airのタップは6口。フードホールという性格上、店舗で用意されるホットスナックやナッツ類に加え、他店で購入したフードと合わせて楽しめる柔軟さも魅力です。
この日飲んだビール
この日は、Open Air BrewingのIPA2種を選びました。
open air ipa(Modern IPA/ABV 6.0%)
Open Air Brewingの定番。Motueka、Mosaic、Simcoeを使用し、しっかりとした苦味の芯に果実感のあるアロマが重なります。飲み口はクリアで、何杯でも手を伸ばしたくなるバランスです。
open air ipa(Modern IPA/ABV 6.0%) way up(West Coast IPA/ABV 7.0%)
Citra、Riwaka、Cryo Krush、Columbus CGXを使用。2025年International Beer CupのKeg部門(American-Style IPA)でブロンズを受賞した一杯です。ドライでシャープな苦味と、ホップ由来の力強い香りが印象的でした。
way up(West Coast IPA/ABV 7.0%)
神戸という街とOpen Air Brewing

歴史ある街並み、商店街の生活感、そしてリノベーションされた小学校という公共性の高い場所。その中心に、醸造所とタップが自然に存在している光景は、Open Air Brewingが掲げてきた「分け隔てなく時間や空間を共有する」という思想を体現しているように映ります。観光的な派手さではなく、暮らしのなかにクラフトビールが寄り添う。神戸という街のスケール感や空気感と、Open Air Brewingの姿勢は非常に相性が良いと感じられました。

なお、長年ヘッドブルワーを務めたベン・エムリック氏は2025年夏に第一子が誕生し、現在は育児休暇中。2025年12月からはAkio氏(兵連明男氏)がヘッドブルワーを務めていますが、ベン氏もブルーイングディレクターとしてレシピ監修や技術面でのサポートを継続しており、訪問当日も醸造所にその姿がありました。
神戸の街に根を張りながら、Open Air Brewingはこれからも、ビールを通じて人と場所をつなぐ存在であり続けるはずです。
Open Air 湊山醸造所
所在地:神戸市兵庫区雪御所町2-18-102
営業時間:平日11-18時、休日10-18時
定休日:不定休
※この記事は2026年1月時点の情報をもとに編集されています。








