タップルーム探訪|滋賀・近江八幡「TWO RABBITS BREWING」── 八幡堀の夕暮れに溶け込む、街のクラフトビール

店舗外観
  • 店舗外観
  • 新町周辺の町並み
  • 新町周辺の町並み
  • 新町周辺の町並み
  • 森五郎兵衛邸
  • 森五郎兵衛邸の案内看板
  • 八幡堀
  • 八幡堀の船着き場

滋賀・近江八幡の八幡堀沿いに店を構える TWO RABBITS BREWING (二兎醸造)を訪問。オーストラリアとニュージーランドにルーツを持つブルワリーが、日本の副原料や地域文化を取り入れながら醸すクラフトビールと、歴史ある水辺の街に溶け込むタップルームの魅力を体験しました。

近江八幡という町へ入っていく

新町周辺の町並み

滋賀県・近江八幡。
八幡堀や新町通りの古い町並みが残り、最近ではNHK大河ドラマ「豊臣兄弟」の舞台としても注目を集める歴史の町です。ウィリアム・メレル・ヴォーリズが多くの建築を遺した地としても知られ、観光地としての華やかさと、生活の気配が同居しています。

近江八幡駅からタクシーに乗り、八幡町通りを八幡山城跡方面へ向かいます。

森五郎兵衛邸

道中、運転手が教えてくれたのは、ヴォーリズ建築の八幡小学校のことや、滋賀県発祥だという「飛び出し坊や」の話。そして、新町通りに現存する商家、森五郎兵衛邸など道すがらにある歴史的な場所でした。

八幡堀の船着き場

観光ガイドのようでいて、どこか生活の延長線上にある話題ばかりだったのが印象的でした。近江八幡は、“保存された歴史”だけではなく、今も人が暮らす町なのだと気づかされます。

店舗外観

駅から車で10分ほど。
新町通り周辺の町家が並ぶエリアから八幡堀エリアへ入ると、その景色の中に自然と溶け込むように白壁と焼杉板張りのTWO RABBITS BREWING BEER HOUSE(ツーラビッツ ブルーイング ビアハウス)が現れます。

タップルーム入口

入口脇には洋樽。壁にはイギリスのパブのような看板が掲げられ、和の町並みの中に、クラフトビール文化が静かに入り込んでいるような佇まいです。

八幡堀の時間に寄り添うタップルーム

店舗側から醸造所を望む

店の裏手にはすぐお堀があり、お堀に掛かった橋を渡った先には醸造所も見えます。八幡堀の船着き場も近く、この場所がかつて物流と商いの町として栄えたことを思わせます。

店舗外観

店内は、使い込まれた木材の質感が印象的でした。やや暗めの照明が古材の色味を際立たせ、夕方が近づくにつれて、外の白壁が外灯とも相まってオレンジ色の光を帯び始めます。

注文カウンター

タップが並ぶカウンターの背後には格子窓があり、その向こうにはお堀の景色。醸造タンクを見せるタイプのブルワリーではなく、“街の風景も飲ませる場所”という空気感があります。

カウンター

カウンター席に加え、テーブル席も配置されており、ひとりでも、カップルでも、グループでも過ごしやすい空間です。

地元の日常に根付くブルワリー

テーブル席。壁面には歴代の缶が並ぶ

訪れた日は、ランイベントが開催されていたようでした。ランニングウェア姿の客たちが、完走後のビールを片手に盛り上がっています。

“Beer for everyone”を掲げるこのブルワリーは、ニュージーランド産ホップや南オーストラリア州の麦芽を使いながらも、近江八幡産の小麦や、山椒、柚子、金柑など、日本の素材を積極的に取り入れています。

醸造所前から店舗を望む

数年前、開業場所を探す中でこの歴史ある町に出会い、そこからTWO RABBITSの歴史が始まったといいます。海外ルーツを持ちながらも、この町の日常にきちんと根を下ろしているのです。

ロゴ入りグッズ

観光客も訪れますが、それ以上に、地元の人々の“いつもの場所”として機能している印象がありました。

日本らしさを取り込んだビールたち

タップ

タップは全部で12口。この日は10種類がつながっていました。

KINKAN WIT(Wit)4.5%
THE MOON RABBIT(Session Hazy IPA)4.5%
DARK VIENNA LAGER WITH WASABI & SHOYU(Dark Lager)
KIWI IPA(IPA)6.0%
鵺(ぬえ)ホップジュース IPA(Hop Juice IPA)7.0%
ラビットパンチ マウンテン IPA(Hazy IPA)6.0%
ゴーゼ with さくらもち (Gose)4.5%
ヴィンテージエール バーボン(Vintage Ale)9.0%
SCOTCH ALE(Scotch Ale)7.0%

メニュー

ニュージーランドホップの個性を感じさせながらも、わさびや醤油、さくらなど、日本的な副原料を積極的に取り入れているのが印象的です。缶デザインにも花札モチーフを採用するなど、“日本で醸造する意味”をしっかり持っているブルワリーだと感じました。

この日飲んだのは、「鵺(ぬえ)ホップジュース IPA」と、「ラビットパンチ マウンテン IPA」。

鵺(ぬえ)ホップジュース IPA(Hop Juice IPA)7.0%

鵺ホップジュース IPAは、爽やかな柑橘感が印象的。八幡堀沿いを歩いた後の身体に、みずみずしく染み込んできます。

ラビットパンチ マウンテン IPA(Hazy IPA)6.0%

一方のラビットパンチ マウンテン IPAは、ホップアロマをしっかり感じながら、苦味も輪郭を持っています。夕方から夜へ向かう時間帯に似合う一杯でした。

ビールと地域が循環するフード

金柑ソーセージ&ピクルス

フードには、「金柑ソーセージ&ピクルス」を注文しました。このソーセージは、彦根市八坂町の「エイトヒルズ デリカテッセン」によるもので、TWO RABBITSのフラッグシップビール「KINKAN WIT」に使用した金柑の搾り果実を練り込んでいるそうです。

単なるペアリングメニューではありません。ビールと地域の食文化が、きちんと循環しています。

メニュー

そのほかにも、フィッシュ&チップスやオージーミートパイ、イカリング&チップスなど、ニュージーランドや英語圏パブ文化を感じさせるメニューが並ぶ一方、枝豆も用意されていました。

海外文化を持ち込みながら、日本の日常にも自然に馴染んでいる。そのバランス感覚も、この店の魅力のひとつです。

八幡堀の夕暮れに馴染むクラフトビール

店舗外観

観光地には、多くの飲食店があります。ですが、旅先で記憶に残る店というのは、“その土地の時間”を飲ませてくれる場所なのかもしれません。TWO RABBITS BREWING BEER HOUSEは、まさにそんな一軒でした。

八幡堀の夕暮れ。
白壁がオレンジ色に染まり始める頃、この町のクラフトビールは、歴史地区の風景の中に静かに溶け込んでいました。

【店舗情報】
店名:TWO RABBITS BREWING BEER HOUSE(ツーラビッツ ブルーイング ビアハウス)
場所:滋賀県近江八幡市大杉町27
営業時間:(月~木)12:00-18:00、(金土日祝)12:00-20:00
アクセス:JR近江八幡駅北口からバスにて7分、「新町」バス停下車 徒歩2分

《BEERMAPS編集部》