ビールの審査会とビールフェスティバルが一体となったイベント「JAPAN BREWERS CUP 2026」が横浜で開催されました。
41社のブルワリーが国内外から集い、約200種のビールを楽しめる国内最大規模のクラフトビールイベントです。
ビールフェスティバルの会場である横浜大さん橋ホールに潜入した編集部は、出店している8社のブルワーにインタビューを実施。審査会の感想や自社のおすすめビール、ビール造りのこだわり、今後の展望などについてうかがいました。
今回は前編として、4つのブルワリー「奈良醸造」「ISEKADO BREWERY」「Totopia Brewery」「CRAFT BEER BASE」へのインタビューをお届けします!
▼JAPAN BREWERS CUPの概要やイベントレポートはコチラ!
「JAPAN BREWERS CUP 2026」国内最大規模のクラフトビールイベントをレポート!@横浜大さん橋ホール
奈良醸造(NARA BREWING)
JAPAN BREWERS CUP 4回目の出店となる奈良醸造。今年のビール審査会では、アンバービール部門で金賞、ストロングビール部門で銀賞を獲得し、チャンピオンズブルワリーに輝きました。
チャンピオンズブルワリー授賞式の様子や代表コメントは、前回の記事▼にてご紹介しています。
「JAPAN BREWERS CUP 2026」国内最大規模のクラフトビールイベントをレポート!@横浜大さん橋ホール
2部門での受賞後、奈良醸造のブルワーとして3年目を迎えた佐久間健治さんにお話をうかがいました!
ブルワー・佐久間健治さんインタビュー

——2部門での受賞、今のお気持ちはいかがですか?
佐久間さん:ビールの味に自信はあったものの、正直驚いています。プロがジャッジするJAPAN BREWERS CUPで、1000を超えるエントリー数のなかから評価されたということがとても嬉しいです。
——受賞ビールについて教えてください。
佐久間さん:金賞を受賞した「SUN」は、神奈川県のヨロッコビールとのコラボビール「YANG」のレシピをベースにしています。そのコラボで教えてもらったことも活かしながら造った、思い入れのあるビールです。
また、銀賞を受賞した「INTEGRAL B」は、セゾンスタイルのビール。奈良醸造の定番ビール「INTEGRAL」のレシピをベースにしながら、瓶詰め時にブレット酵母を入れることで異なる味わいに仕上げています。どちらも瓶詰め時に酵母と糖分を加える瓶内二次発酵の手法を取っています。一定期間熟成させているので、少し寝かせて数年経ってから開けても楽しめます!
——自信を持っておすすめできる、奈良醸造のビールを一つ教えてください。
佐久間さん:今回の審査会には出品していませんが、「FUNCTION」という奈良醸造の定番ビールがおすすめです。非常に完成度の高いビールで、クラフトビールに馴染みがない人にも飲んでほしい、とっつきやすいビールだと思います。
——会場で印象に残ったビールはありますか?
佐久間さん:横浜ビールの「マシュマロフリーク」を先ほどいただいて、とても美味しかったです。
——今後の展望を教えてください。
佐久間さん:個人としては、去年からレシピの執筆を年に数回任されているので、今年も自分の作りたいビールのレシピづくりに向けて取り組んでるところです。クリーミーな泡を楽しめる、窒素充填のナイトロ缶ビールを定期的に造っていて、今年も挑戦したいと考えています。
——最後にメッセージをお願いします!
佐久間さん:受賞は本当に嬉しく思っていますし、もっと奈良醸造のことを知ってもらって、今後もより多くの人にビールを届けられたらいいなと思っています!
・SUN|アンバービール部門1位

出典:奈良醸造
Japan Brewers Cup 2026のアンバービール部門で金賞を受賞した、メルツェンラオホビア。燻製の香りとビターな甘味、心地よい苦みを感じられる、バランスが取れた一杯です。
編集部が奈良醸造のブースを訪れたときには既に完売しており、会場で飲むことはできませんでした…。
スタイル:Märzen Rauchbier
アルコール度数:6.5%
IBU:22
・INTEGRAL B|ストロングビール部門2位

出典:奈良醸造

Japan Brewers Cup 2026のストロングビール部門で銀賞を受賞した、瓶内二次発酵のボトルシリーズ。ワイルドなアロマと、スパイシーで複雑な味わい、最後にベリーを思わせるような繊細な風味も感じられ、多層的な味わいの変化を楽しめる一杯です。
スタイル:Saison (Bottle Conditioned)
アルコール度数:9.0%
IBU:21
・FUNCTION

出典:奈良醸造
多彩なホップとセゾン酵母をかけ合わせた、奈良醸造の定番ビール。白ワインや白ブドウのような香りを持つホップや、トロピカルフルーツやベリーなどの複雑な香りを持つホップを使用。ドライな飲み口とほのかな酸味を楽しめる、ドリンカブルな仕上がりです。
スタイル:American Belgo Style Ale
アルコール度数:6.0%
IBU:24
ISEKADO BREWERY(伊勢角屋麦酒)
ISEKADO BREWERY(伊勢角屋麦酒)は、ビール界のオスカーとも呼ばれる「International Brewing Awards」での金賞をはじめ、国内外のコンペティションで様々な賞を受賞しているブルワリーです。
JAPAN BREWERS CUPの出店は8回目。ISEKADO3代目ヘッドブルワーの出口善一さんは、16年間ビールの醸造に携わってきた経験をもとに、今回の審査会にジャッジとして参加されたそうです!
ブルーマスター・出口善一さんインタビュー

——ビール審査会はいかがでしたか?
出口さん:日本のビールのレベルが上がってきているのではないかと感じました。ISEKADOは「ねこにひき」や「In the Hops!」を含む8種類のビールを出品しましたが、今回は受賞ならず。悔しいですね。
審査会は、現在のトレンドや求められている味わいが分かり、自分たちのビールと受賞ビールを比較することもできるので、課題や次の目標が見える貴重な機会だと思います。
——ISEKADOのおすすめのビールを教えてください。
出口さん:バーボンバレルでエイジングした「Bourbon Barrel Aged Shadowplay 2025」は、インパクトある香りと、デザートのような甘味を感じてもらえると思います。個人的には、暖炉の前で温度とともに変化する香りもゆっくり楽しんでいただきたいです。
煎茶がほんのりと香る「煎茶 Hazy IPA」も面白い味わいですよ。
また、ISEKADOの新定番のウエストコーストピルスナー「BEYOND THE PACIFIC」は、ピルスナーのスッキリとした喉越しと、ウエストコーストIPAの香り・苦みを楽しめるので、ぜひ飲んでみてください。
——今後の展望を教えてください。
出口さん:ISEKADOはアメリカンホッピーなビールが中心なので、そこから裾野を広げるイメージで、様々なスタイルにチャレンジしているところです。ラガーからエール、バレルエイジまで、賞を獲得できるクオリティのビールを造り続けます。
——最後にメッセージをお願いします!
出口さん:まずはクラフトビールを飲んでみろ!自分に合ったビールを探せ!
ブルワリーごとにビールの味は全然違うので、色んなブルワリーのビールを試してみてください。美味しいと思えるクラフトビールは絶対にあります。
・Bourbon Barrel Aged Shadowplay 2025

出典:ISEKADO

大量のコーヒーとバニラでコンディショニングした、濃厚で贅沢なインペリアルスタウト。ウイスキーやバニラが引き立つデザートのような甘味を、程よい酸味と苦みが引き締めます。
スタイル:Bourbon Barrel Aged Imperial Stout
アルコール度数:13.0%
IBU:15
・BEYOND THE PACIFIC

出典:ISEKADO
ピルスナーとウエストコーストIPAの良いところをかけ合わせた、ウエストコーストピルスナー。4年ぶりのISEKADO新定番です。力強いホップの香りと苦みの広がりを楽しめて、後味はスッキリとしたキレがあります。
スタイル:Pacific Dry Pilsner
アルコール度数:5.5%
IBU:50
・煎茶 Hazy IPA

ジューシーでまろやかなヘイジーIPAに、煎茶がほんのりと香る一杯。フルーティーな香りと、煎茶の爽やかな苦みのバランスが良く、まるで煎茶ラテのような味わいです。三重県いなべ市の「石榑茶(いしぐれちゃ)」を使用。
スタイル:Hazy IPA with グリーンティ
アルコール度数:5.0%
IBU:50
Totopia Brewery(トートピアブルワリー)
JAPAN BREWERS CUP4回目の出店となる、愛知県のTotopia Brewery。
まだ見ぬ壮大なクラフトビール世界を構築するため、2022年に設立。これまで口にしたことのないような新たなビール体験を提案しています。
Totopia Breweryの代表・森田純矢さんと、ヘッドブルワーのペレラス ユージーンさんにお話をうかがいました!
代表・森田純矢さん/ヘッドブルワー・ペレラス ユージーンさんインタビュー

——ビール審査会はいかがでしたか?
ユージーンさん:今回は審査会にジャッジとして参加しましたが、多くのビールの中から最も優れたビールを選ぶことが本当に大変でした。
Totopia Breweryからは、イギリスのクラウドウォーターとコラボしたトリプルヘイジーIPA「Kumophilia」を出品しました。これは私がクラウドウォーターではじめて飲んで衝撃を受けたヘイジーIPAからインスピレーションを得たものです。
森田さん:今回は残念ながら賞を取れませんでしたが、良い経験だと思って次に活かそうと思っています。
——Totopia Breweryには、どのようなビールが多いですか?おすすめのビールもあれば教えてください。
森田さん:Totopia Breweryはホップをたくさん使用したビールを造っているので、ホッピーなビールが好きな方にはぜひ飲んでいただきたいです。醸造で発酵の工程を最も大切にしていることから、ハイアルコールなビールも多いのですが、アルコールを過度に感じることなくスムーズに飲める味わいを意識しています。
ユージーンさん:Hoppy Lagerの「Tropical Fusion」は、飲みやすくて本当に気に入っています。ブルワリー6社のコラボ企画「Freestyle Fes 2026」で造ったビールです。
——JAPAN BREWERS CUPは、どのようなイベントだと感じていますか?
森田さん:同業者が切磋琢磨できるイベントは刺激がありますね。海外のイベントで顔を合わせるようなアメリカのブルワリーが、日本に集まってくれているのは素晴らしいことだと思います。
ユージーンさん:私はカリフォニア州出身なので、ISM BrewingやGhost Town、GREEN CHEEKのビールが飲めるのを楽しみにしていました。
——今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
ユージーンさん:小さな改善を含め、常に何かに挑戦していきたいと思っています。現在いくつかのプロジェクトが進行中ですが、次の大きな挑戦の一つはバレルエイジドビールです。
森田さん:バレルエイジドビールは現在準備を進めていて、醸造開始が楽しみです。
また、アメリカの東海岸に足を運んだ際に、その場でハーブをセゾンとサワーでブレンドして半年後に日本に持ち帰るという体験をしました。それをきっかけに、自分たちで育てた酵母やハーブなどをビールに使用したいという想いも芽生えたので、将来的には挑戦したいですね。
・Kumophilia


クラウドウォーターとのコラボビール。トロピカルな香りに加え、白桃の甘みやベリーフレーバーによる奥行きも感じられます。滑らかな口当たりで、アルコール度数10%と思えないほどドリンカブルな一杯。
スタイル:DDH Hazy TIPA
アルコール度数:10.0%
・Freestyle Fes 2026 -Tropical Fusion-

ブルワリー6社のコラボ企画「Freestyle Fes 2026」のHoppy Lager。ホップのトロピカルな香りとフルーティな味わいにダンク香が深みを与え、ラガーのライトな喉越しも楽しめる一杯。
スタイル:Hoppy Lager
アルコール度数:5.0%
CRAFT BEER BASE(クラフトビアベース)
大阪府のCRAFT BEER BASEは、JAPAN BREWERS CUP5回目の出店。
今回は、淡色ラガー部門で「Southern German - Style Pilsener」が3位を獲得しています。
CRAFT BEER BASEの代表で、醸造も担当している谷和さんにお話をうかがいました!
代表兼ブルワー・谷和さんインタビュー

——淡色ラガー部門で3位受賞、今のお気持ちはいかがですか?
谷さん:それはもう、嬉しいですね。受賞した「Southern German - Style Pilsener」は南ドイツ・ミュンヘンのスタイルですが、比較醸造として北ドイツのスタイルも一緒に造り、地域ごとのビールの造り方を試しました。例えば、醤油なら北のほうが塩味が強く、南のほうは甘いものが多いですよね。それをビールでやってみたんです。
結果的に、北ドイツのスタイルに比べると「Southern German - Style Pilsener」はホップ感が抑えられていて、柔らかい味わいになりました。製造工程ではデコクション法を採用し、ダイナミックな口当たりも生まれるような形で造っています。
——今回の審査会は参加されましたか?
谷さん:はい。これまで審査員として5回ほど参加させていただいています。海外ブルワリーのエントリーや、審査員の数は年々増えていて、日本最大級のコンペティションになっているので、すごいことだなと思います。
——自信を持っておすすめできる、CRAFT BEER BASEのビールを一つ教えてください。
谷さん:「ラベンダー&カモミール」ですね。昨年は欧州最大のビールコンペティション「European Beer Star」で金賞、アメリカで開催される「World Beer Cup」で3位を受賞し、世界的に認めていただいたビールなので、ぜひ飲んでいただきたいです。
「ラベンダー&カモミール」は女性の仕事終わりの一杯をイメージして造ったビールで、ホップの代わりにラベンダーとカモミールで香りを付けて、苦みは控えめにしています。ホップはフランス・アルザス産のMistralを使用していて、このホップもお花のような香りがします。
——今後、挑戦したいビールはありますか?
谷さん:多様なビアスタイルを造ってきましたが、今は日本酒の酵母を使用した日本ならではのビールにチャレンジしています。日本酒特有の吟醸香を感じられるビールです。
——会場でお気に入りのビールはありますか?
谷さん:一つ挙げるとすると…Firestone Walker Brewing CompanyのDBAが好きですね。
——最後にメッセージをお願いします!
谷さん:みんながクラフトビールをずっと好きでいてくれたら嬉しいなと思います!
・Southern German - Style Pilsener|淡色ラガー部門3位

デコクション法を採用した、伝統的な南ドイツスタイルのピルスナー。Japan Brewers Cup 2026の淡色ラガー部門で3位を受賞。モルトの芯が際立つコクに、柔らかな苦みを感じられるドリンカブルな一杯です。
スタイル:German-Style Pilsener
アルコール度数:5.3%
IBU:29
・ラベンダー&カモミール


ハーブティーに使用するラベンダーとカモミールを麦汁に加えて発酵させた、金色のビール。European Beer Starで金賞、World Beer Cupで3位を受賞。優しく軽やかな口当たりに、お花がふんわりと香り、リラックス&リフレッシュさせてくれる一杯です。
スタイル:Golden Ale with Herbs
アルコール度数:5.0%
IBU:15
まとめ【インタビュー後編もお楽しみに!】
今回は、「奈良醸造」「ISEKADO BREWERY」「Totopia Brewery」「CRAFT BEER BASE」へのインタビューをお届けしました。
「JAPAN BREWERS CUP 2026」出店ブルワリーインタビューの後編は、下記4社です!
・open air
・NOMCRAFT BREWING
・NOVORU BREWING
・FARMENTRY
次回の記事もお楽しみに!








