神戸で開催された“売り手”主役のクラフトビールイベント
2026年2月28日から3月1日にかけて開催された「KOBE BEER JAMBOREE 2026(KBJ2026)」。このイベントの特徴は、ブルワリーではなく、ビアパブや酒屋、インポーターといった“クラフトビールを届ける側”が主役になることにあります。
各出店者には、基本的に3液種のみを提供するという条件も。たくさん持ってくるのではなく、その店が「これを飲んでほしい」「これが自分たちを表現するビールだ」と考えた一杯を厳選して持ち込む。その制約があるからこそ、ブースごとの個性や、ブルワリーとの関係性、地域とのつながりが見えやすくなっていたように思います。
本特集は全4本の構成。出店店舗紹介を3記事、実際に飲んだビールをまとめた記事を1記事をお届けします。第1回となる本記事では、東日本から集まった12の出店店舗を取り上げます。
出店店舗一覧とセレクト
THE BEER TOKACHI(北海道)

フレンチブルドッグの後ろ姿のロゴが印象的な帯広のビアバー、THE BEER TOKACHI。JR帯広駅から徒歩約10分の場所にあり、店舗のオープンは2024年10月。カウンター正面には10タップが並び、店内の冷蔵ケースには持ち帰りも可能なクラフトビールが並びます。十勝エリアでクラフトビールを楽しめるビアバーの一つとして知られています。
この日提供されていたのは次の3種でした。
THE BEER TOKACHI / 稔-Minori- / Pilsner / 5.0%
Streetlight Brewing / le chemin de la biére / Farmhouse Ale Style w/ Grape / 5.5%
The Old Grey Brewery / ポロトの月 / IPL / 5.0%
北海道のブルワリーを中心にしたラインアップで、地域のクラフトビールシーンを感じられるセレクションとなっていました。
White Seed(北海道)

函館市電・十字街駅から徒歩約6分の場所にあるクラフトビアバー、White Seed。2023年6月にオープンしました。店名は、雪深い北海道の地中から、雪に見立てた白い種が根を張り発芽していくというイメージから名付けられています。店主の平松さんはブルワーでもあり、ファントムブルワーとして自身が醸造したビールで受賞歴も持つ人物。北海道を中心に国内外のクラフトビールを揃え、タップは12口を備えています。
作り手としての経験に加え、店舗では注ぎ手としての技術にもこだわり、使用するグラスにも配慮するなど、ビールの提供方法にも細やかな工夫が見られます。2025年12月には函館・五稜郭近くに姉妹店もオープンしています。
この日提供されていたのは次の3種でした。
White Seed × BLADE FACTORY BREWING(岐阜) / 磨上-SURIAGE- / Hazy Pale Ale / 5.0%
White Seed × 蛍火醸造(青森) / from bay side / West Coast IPA / 7.2%
White Seed × 蛍火醸造(青森) / enduring / Dark Lager / 5.4%
ファントムブルワーとしての活動を反映したコラボレーションビールが並び、White Seedの醸造活動を感じさせるラインアップとなっていました。
十二屋(新潟)

新潟県妙高市、えちごトキめき鉄道・関山駅から徒歩約1分の場所にある酒屋、十二屋。創業は大正12年(1923年)という長い歴史を持つ老舗の酒店です。酒どころ新潟の店らしく、日本酒の品揃えでも知られる一方、近年はクラフトビールにも力を入れており、地元ブルワリーとのコラボレーションビールなども展開しています。
この日は、同じ妙高にあるブルワリー「GANGI BREWING」とのKBJ限定コラボビールを用意しての出店となっていました。
提供されていたのは次の3種でした。
GANGI BREWING × 十二屋 / WHOLE BOX / Modern Pils / 5.0%
MITSUKE LOCAL BREWERY × 十二屋 / リ・ベリー / Fruit Sour Ale / 5.0%
サッポロビール / 風味爽快ニシテ(新潟限定) / 5.0%
地元ブルワリーとのコラボビールに加え、新潟限定ビールも並ぶラインアップで、新潟の酒文化を感じさせるセレクションとなっていました。
CAFFE & DINING SHACHI / SELECT BEER SHOP SHACHI(埼玉)

大宮駅から徒歩約10分。武蔵一宮 氷川神社の参道近くにあるビアバー&ビアショップ、CAFFE & DINING SHACHI / SELECT BEER SHOP SHACHI。クラフトビールのセレクトに加え、パスタランチも人気の店として知られています。店内は椅子やテーブルなど細部までこだわりを感じさせる落ち着いた空間で、食事とともにクラフトビールを楽しめるスタイル。ビアショップとしてボトルや缶の販売も行っています。
この日提供されていたのは次の3種でした。
NOMODY BREWING(埼玉) / The MINIMAL / Pilsner / 4.5%
Teenage Brewing(埼玉) × TOTOPIA BREWING / Two-Tone / DDH DIPA / 9.0%
AMEN(イタリア) Birrificio WAR / American IPA / 5.5%
地元・埼玉のブルワリーのビールに加え、海外ブルワリーのビールも並ぶラインアップで、ビアショップとしての幅広いセレクトが感じられる構成となっていました。
2階のクラフトビール屋つむぎ(千葉)

JR常磐線・南柏駅前にあるビアバー、2階のクラフトビール屋つむぎ。2022年4月にオープンしたクラフトビール専門店で、店名の通り建物の2階に店舗があります。店内では8種類の樽生クラフトビールを提供するほか、昭和のビールサーバー「スイングカラン」で注ぐ大手ラガーも楽しめるのが特徴。クラフトビールと伝統的な注ぎ方のラガーの両方を味わえるスタイルの店です。
この日提供されていたのは次の3種でした。
サッポロ黒ラベル / スイングカラン・一度注ぎ
ピルスナーウルケル
RIO BREWING(千葉) × BEER BRAIN BREWERY(千葉) / STONED FLOWN / TDH Hazy TIPA / 9.0%
注ぎ方にこだわるラガー2種と、地元千葉のブルワリーによるコラボビールを揃えたラインアップで、ビールへのこだわりと地域とのつながりが感じられるセレクションとなっていました。
Beer&CubanSand Fiesta(東京)

東急目黒線・西小山駅から徒歩約1分。西小山のアーケード商店街を抜け、右に曲がるとすぐにあるビアパブがBeer&CubanSand Fiestaです。2019年オープン。京都出身の幼馴染二人がオーナーを務めています。スタッフも全員関西出身で、関西のブルワリーのビールを中心に扱うのが特徴。「西小山で関西を味わう」をコンセプトに掲げています。
店名にもなっているキューバサンドが看板メニューですが、京都らしくおばんざいのメニューも充実。関西のクラフトビールとともに、食事も楽しめる店として知られています。
この日提供されていたのは、いずれも関西のブルワリーによる3液種でした。
Free Spirits Brewing(兵庫・姫路)/ 感じてネクタロン / SMaSH IPA / 6.8%
上方麦酒(大阪)/ 昼下がりのセゾン / Saison w/紅茶葉・レモンピール / 5%
Kyoto Beer Lab(京都)/ 深蒸し茶IPA / Deep Steamed Green Tea IPA / 6.5%
関西のブルワリーを揃えたラインアップで、店のコンセプトをそのまま表すようなセレクションとなっていました。
みんなのクラフトビールバル両国・蔵前(東京)

ビールインフルエンサー「ビールおにいさん」こと、すずきゆうたさんが2024年10月にオープンしたビアバー、みんなのクラフトビールバル両国・蔵前。JR両国駅から徒歩約12分、都営大江戸線両国駅からは徒歩約4分のほか、大江戸線蔵前駅から徒歩約12分、都営浅草線蔵前駅からも徒歩約13分とアクセスしやすい立地です。店内には6タップが並び、樽生クラフトビールを提供。飲み放題メニューも用意されており、気軽にクラフトビールを楽しめるスタイルのビアバーです。
この日提供されていたのは次の3種でした。
GAHAHA BEER(東陽町) / アンティークエール / American Pale Ale / 6.2%
GAHAHA BEER / マーシー IPA / Session IPA / 4.5%
OKEI BREWERY(日暮里) / 荒川 HAZY EUREKA! / Hazy IPA / 6.5%
東京のブルワリーを中心としたラインアップで、地域のクラフトビールシーンを感じられるセレクションとなっていました。
Bar FUKURO × Canal Brewing(東京)

蒲田にあるビアバーBar FUKUROと、大井町のCanal Brewingによるコラボ出店。
Bar FUKUROは2012年オープン。JR蒲田駅から徒歩約5分、京急蒲田駅からも徒歩圏内にあり、テーブル席、カウンター席、立食席と多様なスタイルでクラフトビールを楽しめる店です。木製のテーブルを中心とした店内は温かみがあり、カウンターでは常連客と店主の会話も弾む空間です。
一方のCanal Brewingは2023年5月オープン。JR・東急・りんかい線が乗り入れる大井町駅から徒歩約4分の立地にあり、路地裏に佇む角打ちのような雰囲気が特徴です。10タップに加え、数十種類の缶ビールも揃え、多様なビールを楽しめる構成となっています。
そんな2店舗がセレクトしたのは次の3種でした。
Egret Brewery(兵庫・姫路) × FUKURO × Canal / Daylight Moon / Fruit Ale / 5.0%
CAMADO BREWERY(岐阜) × FUKURO × Canal / Midnight Sun / Hoppy Citrus Saison / 5.0%
Egret Brewery(兵庫・姫路) / Egret IPA / IPA / 5.5%
ブルワリーとのコラボレーションビールを中心に据えたラインアップで、両店舗のセレクトの意図が感じられる構成となっていました。
さらに今回のKOBE BEER JAMBOREE 2026では、「ブース賞」と「スタッフ賞」を受賞。現在はその賞状がそれぞれの店舗に掲げられています。
すごせる酒屋MUGI(静岡)

「すごせる酒屋」をコンセプトにした立ち飲みができる酒屋、すごせる酒屋MUGI。静岡駅から徒歩約20分、浅間神社の参道でもある静岡浅間通り商店街にあります。店舗は店主・伏見さんの実家でもある築約70年の木造古民家をリノベーションしたもの。2021年11月にオープンしました。入口には紺色の暖簾が掛かり、土間にお邪魔したような落ち着いた空間が広がります。店内には4タップが設置され、クラフトビールをその場で楽しめるスタイル。酒屋としての販売と立ち飲みの場を兼ね備えた店です。
この日提供されていたのは次の3種でした。
Zoo Brewing / TANUKI / Wasabi Pale Ale
Zoo Brewing × Rough and Laugh Brewing / HATAKE / Fresh Hop Kölsch / 4.5%
Horsehead Labs / 不可思議 / TDH IPA / 10.5%
地元ブルワリーのビールを中心にしたラインアップで、酒屋としてのセレクトの個性が感じられる構成となっていました。
Beer OWLE(静岡)

静岡県静岡市にあるクラフトビール専門酒屋、Beer OWLE。JR静岡駅から徒歩約12分、静岡鉄道・新静岡駅からは徒歩約2分の場所にあります。国内外150種類以上のクラフトビールを取り揃えるボトルショップです。
Beer OWLEは、カナダ・ブリティッシュコロンビア州のクラフトビールを輸入するインポーター「BC Beer Trading」が運営する店舗としても知られています。店内の壁には大きく羽を広げたフクロウのイラストが描かれ、その前には10基のタップが並びます。樽生ビールも常時提供されており、その場でビールを楽しむこともできます。
この日提供されていたのは次の3種でした。
BC BEER TRADING × FARMENTRY / DAWN(BC BEER TRADING 10周年ビール) / Farmhouse Ale / 4.0%
CHORYO Craft Beer × OWLE / 影武者ラガー(KBJ限定) / Rice Lager / 5.5%
Beer Again Brewing / DUSK / Strong Ale / 10.5%
インポーターとしての活動と店舗のセレクトが重なる、Beer OWLEらしいラインアップとなっていました。
BEER&CRAFT(岐阜)

JR岐阜駅から徒歩約3分、名鉄岐阜駅からはわずか約50mの場所にあるビアバー、BEER&CRAFT。駅前というアクセスの良さもあり、クラフトビールを気軽に楽しめる店として知られています。
店の前にはウッドデッキのオープンテラスが広がり、シルバーのエアストリームと「BEER&CRAFT」のネオン看板が目を引きます。どこかアメリカの街角のような雰囲気が漂う空間です。店内には6タップが設置され、樽生クラフトビールを提供。ビアギークだけでなく、ハンバーガーを目当てに訪れる客も多く、食事とともにクラフトビールを楽しめるスタイルの店です。
この日提供されていたのは次の3種でした。
OPEN AIR BREWING(兵庫) / amorodoro / Tomato Basil GOSE / 4.5%
CAMADO BREWERY(岐阜) / CYUNE - Rouge de Bière / Fruit IPA / 7.0%
NOBODY BREWING(埼玉) / The Slowcore / Micro IPA / 3.5%
地元岐阜のブルワリーのビールに加え、各地のブルワリーのビールを揃えたラインアップで、街のビアバーらしいセレクトとなっていました。
DANKY BEER STORE(愛知)

名古屋・伏見にあるクラフトビール専門店DANKY BEER STORE。2024年3月にオープンした店舗で、民家のような外観に緑のシェード屋根、古材を思わせる窓枠や窓際のベンチなど、どこかレトロモダンな雰囲気を感じさせます。
店内の冷蔵ケースには国内外の缶ビールが多数並び、多くのビアギークに知られる存在。樽生ビールではスイングカランを採用しており、一度注ぎ、二度注ぎ、三度注ぎと注ぎ方による味の変化を楽しめるのも特徴です。プロの注ぎ手による一杯を目当てに訪れる人も少なくありません。
この日提供されていたのは、いずれも地元・愛知県を代表するブルワリーの3液種でした。
Y.MARKET BREWING / Can I Kick It ? / Smoothie Sour Ale / 4%
TOTOPIA BREWERY / Flamephobia 2x Mash DDH Hazy DIPA / 8.5%
ATSUMI PENINSULA BREWING / Atapo / NZ Lager / 5%
愛知のクラフトビールシーンを象徴するブルワリーを揃えたラインアップで、地元へのリスペクトが感じられるセレクションでした。
セレクトに表れる、それぞれの店の個性

3液種という同じ条件の中でも、各店舗の選び方は大きく異なります。地元のブルワリーを揃える店もあれば、自分たちのコラボビールを持ち込む店もある。酒屋としてのネットワークを見せる店もあれば、空間や食との相性まで含めてビールを選んでいる店もありました。
KOBE BEER JAMBOREEのおもしろさは、そうした違いを一度に見比べられることにあります。選ばれた3液種を見ていくと、その店がどんな立場でクラフトビールに関わっているのかが、自然と見えてきます。
次回は、大阪を中心とした出店店舗を紹介します。土地に根ざしながらクラフトビール文化を支えている店の個性を見ていきます。








