タップルーム探訪|群馬・桐生「FARCRY BREWING」── アウトドア、コーヒー、クラフトビール。心地よさがつながる場所

建物外観
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クラフトビールを飲みに出かける旅には、大きく二つあるように思います。目当てのビールを飲みに行く旅と、その土地に流れる時間を味わいに行く旅です。今回訪れた群馬県桐生市のFARCRY BREWINGは、間違いなく後者でした。

静かな桐生の街を歩く

東武特急スペーシア

新宿から東武特急「スペーシア」に乗り栃木へ。そこからJR両毛線に乗り換え、桐生駅へ向かいます。

JR桐生駅

北口から歩くこと約13分。道沿いには昔ながらの商店が並びますが、営業を続ける店とシャッターを下ろした店が混在し、地方都市らしい穏やかな時間が流れています。賑わいを競うのではなく、それぞれの時間が静かに積み重なっている。そんな印象を受けながら歩いていると、街並みの中にひときわ目を引く建物が現れました。目的地のFARCRY BREWINGです。

鉄工所から生まれ変わった「Purveyors」

建物外観

FARCRY BREWINGは、「Purveyors」という複合施設の中でビールを醸造しています。建物はかつて鉄工所だったそうですが、その面影を残しながらも、外壁にはセンスの良いサインが掲げられ、ガラス越しには醸造タンクが見えます。「ここでビールを造っている。」それが自然と伝わってくる外観です。

店舗入口

少し低めのドアをくぐると、そこには外観以上にアメリカンな空気が広がっていました。壁には鹿の剥製。木や革、鉄の質感を活かした家具や調度品。テーブルや椅子は揃いではなくさまざまなタイプのものが置かれていますが、不思議と統一感があります。

店舗内観

そして店内には、Kings of ConvenienceやNick Drakeの穏やかなメロディーが静かに流れていました。アウトドアショップにありがちな高揚感を演出する音楽ではなく、肩の力を抜いてくれるようなアコースティックサウンド。その音楽が、この場所の空気を象徴しているように感じました。

店舗内観

ここでは誰も急いでいません。コーヒーを飲む人。ビールを楽しむ人。買い物を終えて一息つく人。それぞれが思い思いの時間を過ごしています。

アウトドアも、カフェも、ビールも

店舗内観

Purveyorsは3フロアで構成されています。

1階はカフェ「GASTERRO」とFARCRY BREWING。

2階にはアウトドア用品が並び、冷蔵庫には持ち帰り用のクラフトビールも用意されています。

3階はアパレルフロア。その先にはルーフトップテラスが広がり、桐生の街を一望できます。

3階ルーフトップ

訪れた日は真夏の昼間だったためバー営業はしていませんでしたが、日が落ちた後にはここでビールを楽しめそうです。

この施設を歩いていると、アウトドア、コーヒー、クラフトビール、ファッションという異なる要素が、一つのライフスタイルとして自然につながっていることに気づきます。それぞれを無理につなぎ合わせたというより、「好きなものを集めていったら、この場所になった」。そんな印象を受けました。

鹿の角から注がれる5つのビール

鹿の角のタップハンドル

壁に設置されたタップは全部で5口。印象的なのは、タップハンドルに使われた鹿の角です。ここにも、この場所らしい遊び心が息づいていました。

ビールメニュー

この日つながっていたビールは以下の5種類です。

  • Haus Black(Dark Lager)5.0%

  • Field Note(Dry Hopped Saison)5.5%

  • Soft Hours(Berliner Weisse)3.0%

  • Chamomile Weiss(Berliner Weisse)5.5%

  • Y.MARKET × in the house "This Is Your Beer"(American Session IPA)4.5% ※ゲストビール

まずはFARCRY BREWINGの4種類をビアフライトで飲み比べ、その後、ゲストビールと、特に印象に残った「Chamomile Weiss」を改めてグラスでいただきました。

日常に寄り添う4つの個性

BEER FLIGHT:左から、Haus Black、Field Note、Soft Hours、Chamomile Weiss

最初に印象に残ったのは、「Haus Black」。ダークラガーに、同じ施設内のGASTERROで提供されるSAWADA COFFEEのエスプレッソを加えた一杯です。ロースト香やチョコレートを思わせる風味を持ちながら、後味は驚くほど軽やか。アイスアメリカーノのようなすっきりとした苦味が心地よく、暑い日にも自然と杯が進みます。

「Field Note」は、酵母由来のスパイシーさと、ホップがもたらすグレープフルーツや白ブドウのようなニュアンスが美しく調和したドライホップド・セゾン。派手にホップを主張するのではなく、発酵由来の複雑な表情を丁寧に楽しませてくれます。

「Soft Hours」は、ラズベリーとブルーベリーを加えたベルリナーヴァイセ。鮮やかなピンク色と軽快な酸味、ベリーの香りが印象的で、夏の日差しによく似合う一杯でした。

Chamomile Weiss

そして、最も心をつかまれたのが「Chamomile Weiss」。北海道・下川町のコスメブランド「SORRY KOUBOU」が育てたカモミールを使ったウィートエールで、酵母由来のバナナ香とハーブの爽やかさが絶妙なバランスで重なります。華やかさを競うビールではありません。けれど、一口、また一口と飲み進めるうちに、カモミールの繊細な香りに惹かれ、気づけばもう一杯飲みたくなっていました。

ビールを入口に、この場所を好きになる

店舗内観

クラフトビールを目的にブルワリーを訪れることは少なくありません。しかし、FARCRY BREWINGでは、その順番が少し違うのかもしれません。

アウトドア用品を眺め、コーヒーの香りに包まれ、穏やかな音楽を聴きながら過ごす時間の中で、自然とクラフトビールを手に取っている。そんな過ごし方が、この場所にはよく似合います。

2階

ビール好きはもちろん、アウトドアが好きな人も、コーヒーが好きな人も、建築やインテリアに惹かれる人も、それぞれの入口からこの場所を訪れ、最後には一杯のビールにたどり着く。

FARCRY BREWINGは、ビールを通して新しいライフスタイルを提案するのではなく、「好き」が交わる場所に、自然とクラフトビールがある風景をつくっていました。そして、その一杯は、桐生という街をもう少し歩いてみたくなる余韻も、一緒に運んできてくれました。

【店舗情報】
店名:GASTERRO(FARCRY BREWING)
場所:群馬県桐生市仲町2-11-4(Purveyors内)
営業時間:11:30~22:00 *変則営業あり
定休日:不定休 *Instagram要確認
アクセス:JR両毛線 桐生駅 徒歩13分

《BEERMAPS編集部》