和歌山県有田川町を拠点にクラフトビールを醸造する NOMCRAFT BREWING。そのNOMCRAFTが、2025年11月23日、和歌山市内に NOMCRAFT Wakayama Taproom をオープンしました。BEERMAPS NEWS編集部は、年明けにこの新しいタップルームを訪れ、その様子をレポートします。
帝国座の記憶を引き継ぐ「帝国座テラス」

店舗が入るのは、和歌山市新雑賀町に誕生した商業施設 「帝国座テラス」。この場所は、かつて映画館「帝国座」として、長く和歌山市民に親しまれてきた土地です。現在は、内川に面した水辺空間を生かし、「食」を軸に人や文化が交わる場として再構成されています。

木造平屋建ての施設内には複数のテナント区画が設けられ、川沿いには共用のテラスや、奥まで見通せない路地空間も用意されています。NOMCRAFTのほか、カフェ&アンテナショップやワインと中東料理の店がすでに営業を開始しており、今後さらににぎわいが生まれていきそうです。
東ぶらくり丁の端、水辺に開かれたタップルーム

帝国座テラスは、歴史ある商店街「東ぶらくり丁」の端に位置します。和歌山城下町の流れをくむこの一帯は、かつて歓楽街としても栄えた場所ですが、現在は静かな時間が流れています。

タップルームは雑賀橋の脇、川沿いに面した場所にあり、河川敷には腰掛けられる段差と店舗へ続く階段が設けられています。小上がりになった店舗前にはウッドデッキが広がり、テーブル席のほか、川に向かって立ち飲みできるカウンターも用意されています。仕事帰りや散策の途中に、ふと立ち寄れる設えです。
店内の様子と「BEER CAVE」

店内はカウンターを中心に、丸型のハイテーブルが2台配置されています。そのうち1台にはフック・アンド・リングが取り付けられ、ちょっとした遊び心も感じられます。

冷蔵ショーケース前にはベンチ席があり、壁の一角にはロゴ入りのアパレルやキャップ、サコッシュなどを並べたグッズコーナーも設けられています。

特に印象的だったのが、壁一面を使ったガラス張りのショーケースです。内部はウォークイン型の冷蔵庫になっており、「BEER CAVE」と名付けられています。来店者自身が中に入り、缶ビールを選べる仕組みで、奥には次に控えるケグも並んでいました。
店内に並ぶ6本のタップ――当日のラインアップ

タップは全部で6口。訪問時につながっていたビールは以下の通りです。
NOMCRAFT LAGER|Helles|ABV 4.5%
自画自賛|Modern IPA|ABV 6.0%
OCTOPUS KING|Dip Hop IPA|ABV 7.0%
WONDER|West Coast IPA|ABV 7.0%
POP CINEMA|Hazy Pale Ale|ABV 5.0%
REBEL 1|Session IPL|ABV 4.5%

この日は6杯すべてを味わいました。軽快なラガーやホップの表情がはっきりとしたIPAまで、NOMCRAFTらしさを感じられる構成。スタイルの違いを追いながら、NOMCRAFTのブルワーの熱量を感じられるラインアップになっていました。
フードとドリンク、過ごし方の自由度

フードは、猪肉のスモークソーセージや鹿肉とチェダーチーズのソーセージ、鹿肉のサラミといったジビエ系のメニューに加え、ピクルスやポテトサラダ、ミックスナッツなどの定番つまみも常備されています。また、フードの持ち込みも可能になっていますので、めはり寿司や梅干しなど和歌山グルメと楽しむのもアリです。

ソフトドリンクには、和歌山・有田で120年以上続く伊藤農園のミカンジュースや梅ジュースが用意されており、ビールを飲まない人や合間の一杯にも配慮されています。
和歌山のブルワリーが、和歌山の街中に拠点を持つ意味

NOMCRAFTの醸造所は、同じ和歌山県内でも、和歌山市から約30km離れた有田川町にあります。自然に囲まれた環境でビール造りを続ける一方で、和歌山の中心市街地にタップルームを構えたことには、和歌山県の人はもとより、より多くの人に日常的にビールに触れてもらいたいという意図が感じられます。

また、NOMCRAFTは2025年4月、大阪・十三にもタップルームをオープンしています。春に大阪という都市部での拠点を持ち、続く11月には和歌山の街中にタップルームを開きました。こうした動きからは、拠点ごとに役割を持たせながら、NOMCRAFTのビールを届ける場を少しずつ広げていこうとする姿勢がうかがえます。和歌山を拠点とするブルワリーのビールに、より身近に触れられる機会が増えていくことは、ファンにとっても素直に喜ばしい流れです。
これから動き出す、帝国座テラスという場所

今はまだすべてのテナントがそろっているわけではありませんが、帝国座テラス全体として、和歌山の街に新しい人の流れを生み出そうとする動きが始まっています。川沿いの水辺空間や、奥まで見通せない路地のような通路、日常の延長として立ち寄れる飲食店。それぞれの設えからは、この場所を一過性のスポットではなく、時間をかけて育てていこうとする意志が感じられます。
その中で、NOMCRAFT Wakayama Taproomが担う役割も小さくありません。和歌山という土地に根を張るブルワリーが、街の中心部に“開かれた場”を持つこと。そこにビールを軸とした人の往来が生まれることで、この場所の表情も少しずつ変わっていくはずです。帝国座という記憶を受け継ぐ場所で、新しい時間が積み重なっていく。そのプロセスも含めて、このエリアがどのように育っていくのか。今後の変化にも注目していきたいところです。
Nomcraft Wakayama Taproom / ノムクラフト 和歌山 タップルーム
所在地:和歌山県和歌山市新雑賀23 帝国座テラス(TEIKOKUZA Terrace)
オープン日:2025年11月23日
営業時間:平日17:00-24:00、土曜13:00-24:00、日祝13:00-22:00
定休日:水曜








