ととのいのあとに、クラフトビールがある風景|鎌倉「御成桑拿」がひらく、新しいコミュニティサウナ

御成桑拿 外観
  • 御成桑拿 外観
  • 御成桑拿 外観
  • 御成桑拿 外観
  • 御成桑拿の白い暖簾
  • 御成桑拿 1階エントランス
  • 御成桑拿 1階エントランス
  • 更衣室
  • 2階 シャワーブース

鎌倉の路地に現れた、“街にひらかれたサウナ”

東京から電車で1時間ほど。

海と山に囲まれた鎌倉は、観光地でありながら、一本路地へ入ると、今も静かな生活の空気が残る街だ。古い民家の隣に、小さなカフェやギャラリーが並び、ローカルと観光客が自然に混ざり合う。

近年では、コーヒーショップやクラフトビール、ローカルベーカリーなど、新しいカルチャーの発信地としての存在感も強くなっている。今日向かうサウナもそんな印象を受ける。

鎌倉駅西口を出て、御成通り側から向かうか、今小路側から向かうかを少し迷う。今回は、人通りの多い御成通りを避け、今小路側から向かった。

御成桑拿 外観

鎌倉らしい路地を歩くと、道から少し下がった場所に茶色い外観が見えてくる。建物の中央部に掛かる白い暖簾。まわりにある松や柳の緑とのコントラストが印象的だ。

御成桑拿(おなりさうな)は、2025年に鎌倉・御成町に誕生したコミュニティサウナ。

御成桑拿の白い暖簾

運営するのは、鎌倉に本社を置く「面白法人カヤック」。令和のサウナ文化と昭和の銭湯文化を掛け合わせ、“地域密着型でまちと人がととのうサウナ”を掲げている。

設計は谷尻誠氏・吉田愛氏率いる「SUPPOSE DESIGN OFFICE(サポーズデザインオフィス)」。さらにサウナ監修には、アカデミックサウナレーベル「madsaunist(マッドサウニスト)」が参加している。

“苦しくないサウナ”をつくる、蒸気と呼吸の設計

御成桑拿 1階エントランス

大ぶりのガラス引き戸を開けると、正面には木製の下駄箱。そして左手には“番台”が現れる。ここで受付をしたり、水着レンタルを受け取ったり、ドリンクの購入もする。まさに、現代的に再編集された銭湯の番台だ。

更衣室

番台前の暖簾をくぐると、左が男性更衣室、右が女性更衣室。更衣室のロッカーも木製で、全体は茶色をベースにした落ち着いたトーンでまとめられている。

決して巨大施設ではない。だが、この規模感が妙に心地いい。水着着用施設ということもあり、更衣室には脱水機も設置されていた。

身支度を整え、2階のサウナフロアへ向かう。

2階浴場(左:水風呂、右:温風呂、正面奥:サウナ室)

デザインされた内気浴スペース。奥のサウナ室の前には温風呂と水風呂。その間に掛かる板橋を渡り、サウナ室へ入る構造になっている。

1階から2階への動線、水風呂とサウナの位置関係。御成桑拿は、中央から空間へ入っていくようなシンメトリー構造が印象的だ。

サウナ室内

サウナ室へ入るとサウナ室中央には、セルフロウリュ用の水瓶。さらに左右には2基のサウナストーブが設置されている。

室内は3段構成で、ゆったりと20人が入れる広さ。左右で熱の体感が異なり、監修したmadsaunistによると、右・左・中央と場所を変えながら3セット楽しむのがおすすめとのこと。もちろん、その通りに体験してみた。

サウナ室内

御成桑拿が掲げるのは、“苦しくないサウナ”。その快適性を支えるのが、日本初導入となる電気式スチームジェネレーター「MAD ENGINE」だ。飽和水蒸気と過熱水蒸気を組み合わせ、さらに独自吸気システムによって新鮮な空気を循環させることで、熱くても呼吸しやすい空間をつくり出している。

実際、熱はしっかりある。だが、不思議と息苦しさがない。刺激で押し切るタイプではなく、“呼吸が続くサウナ”という感覚だ。

さらに御成桑拿では、madsaunist 独自の「ヒューマンロウリュ」を導入。サウナ室内の水瓶から全身に冷水を浴び、一時的に体表のクールダウンを挟みながら深部体温を高めていく。

熱と冷却、その循環を身体の内側で繰り返していくような感覚だった。

鎌倉の空へひらかれた外気浴

2階浴場(手前:水風呂、奥:温風呂)

水風呂は18℃前後。冷たすぎず、少し長めに浸かっていたくなる温度設定だ。

そして3階の屋上外気浴スペースへ。

屋上 外気浴スペース

全面ウッドデッキで構成された空間には、段差が設けられ、腰掛けたり寝転んだり、それぞれが自由な距離感で過ごせるようになっている。プラスチックチェアが4脚、サウナベッドが2台、サウナマットレスが1つ。

外からの視線が気にならない程度に壁で囲われているが、その向こうには鎌倉の街並みと衣張山の景色が広がっている。高い建物が少ない鎌倉ならではの風景だ。

SUPPOSE DESIGN OFFICEの谷尻誠氏が、「ドラえもんで見た、屋根の上でのび太がくつろぐ気持ちよさ」と語ったように、ここには確かに“屋根の上の余白”のような心地よさがある。

サウナの余韻を抱えたまま、鎌倉でクラフトビールを飲む

1階 休憩スペース

サウナ後は、1階の休憩スペースへ。

席数は4席ほど。冷蔵ケースには、大手瓶ビールやコーラ、ワインに加え、鎌倉や湘南周辺のクラフトビールが並ぶ。ラインアップは、鎌倉のYOROCCO BEER(ヨロッコビール)と、茅ヶ崎のPassific Brewing(パシフィックブルーイング)。

Passific Brewing「OHAYO!」(Morning Hoppy Saison)4.0%

ここでは、Passific Brewingの「OHAYO!(Morning Hoppy Saison)4.0%」をいただいた。冷やされたグラスも用意されており、サウナ後の身体に軽やかに染み込んでいく。

ただ、鎌倉でのクラフトビール体験は、ここで終わらない。

鎌倉笹目座 外観

御成桑拿を後にして、由比ガ浜大通りを歩くこと約10分。向かったのは、鎌倉にあるクラフトビールブルワリー、ヨロッコビール PUB 笹目座(YOROCCO BEER PUB Sasameza)だ。

ヨロッコビール PUB 笹目座 外観

店舗が入る「鎌倉笹目座」は、鎌倉出身の建築家・田邉雄之氏による建築。昭和初期の鎌倉別荘文化の意匠、二重屋根/二重庇により、角度や視線の高さによって内部が見え隠れする。

道路側の1階の一角、落ち着いた空気が流れる空間に、ヨロッコビールのタップルームはある。タップは8タップあり、すべてYOROCCO BEERが繋がっている。

ヨロッコビール PUB 笹目座 内観

この日つながっていたのは、

  • VIENNA LAGER(Vienna Lager)4.5%

  • THE GOLDEN TIME(Italian Style Pilsner)5.5%

  • CELEBRATION LAGER(Smoked Pils)4.5%

  • SKY WALKER IPA(American IPA)5.5%

  • SUBMARINE FOREST(Sea Weed Saison)4.5%

  • YEXIT(West Coast IPA)6.5%

  • SWALLOW'S HUMMING(Golden Ale)5.5%

この中から、「SKY WALKER IPA」と「CELEBRATION LAGER」をいただいた。

SKY WALKER IPA(American IPA)5.5%
CELEBRATION LAGER(Smoked Pils)4.5%

フードは、ソーセージ(平塚「PURE FARM」製)と、自家製ザワークラウトをチョイス。ザワークラウトは酸味がまろやかで、“和”な印象。ヨロッコビールとの相性も抜群だった。

平塚「PURE FARM」のソーセージ

サウナを出たあと、そのまま街を歩き、ローカルブルワリーへ向かう。鎌倉でのサウナ体験は、施設の中だけで完結しない。

“ととのい”が、街へひらかれていく

近年、サウナ施設は大型化が進み、“強い刺激”を競う方向へ向かう流れもある。そんな中で御成桑拿が目指しているのは、少し違う場所にあるように感じた。

熱を科学し、蒸気を設計し、呼吸しやすい空間をつくる。さらに、番台を起点に人が集まり、サウナ後は街へ出て、ローカルのクラフトビールやフードといった飲食だけではなく、海や寺社巡りなど鎌倉が持つ様々なコンテンツへとつながっていく。

御成桑拿は、“閉じた施設”ではなく、鎌倉という街へひらかれたサウナだった。

【施設情報】
店舗名 :御成桑拿
住所:神奈川県鎌倉市御成町10−24
入浴形態 :男女混浴(水着着用)
サウナ室面積:約24㎡
収容人数:最大30人収容可能
サウナストーブ:2台
浴槽:温浴/水風呂
内気浴スペース:2F
外気浴スペース:屋上ウッドデッキ
営業時間:
[平日] 11:00~22:00 (最終受付21:00)
[土日祝] 9:00~22:00 (最終受付21:00)


【タップルーム情報】
店舗名:ヨロッコビール PUB 笹目座(YOROCCO BEER PUB Sasameza)
住所:神奈川県鎌倉市笹目町6-7 101
営業時間:
[月-金] 15:00~22:00
[土] 12:00~22:00
[日] 12:00~21:00
定休日:不定休

《BEERMAPS編集部》